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鎌倉殿の13人のmatchypotterのレビュー・感想・評価

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
4.7
ついに、ついに観終われた。
年を越してしまったが辿り着けた、感無量。

見届けたどころか、去年の夏、鎌倉と伊豆にある大河ドラマ館、両方とも行った。

その周りにある義時のかつての家の跡、北条時政、大江広元、源範頼、源頼家、その他このTVドラマを彩る主要人物の実際のお墓にも行った。

範頼が追放されて殺されたり、頼家が幽閉されたとされる修善寺。
時政が建立し、義時、泰時が整備した願成就院。

その他、去年は完全に鎌倉幕府×北条×伊豆の歴史にどっぷり触れた1年だった。
そう言う意味でもとても楽しかった。

久しぶりに大河ドラマ全話。
前に全話観たのが『真田丸』、その前に全話観たのが『新撰組!』。

今回の『鎌倉殿の13人』も、全部三谷幸喜。
三谷幸喜との相性が良い、らしい。
他にも何度か大河に挑戦しているがなぜだか最後まで観れてるのが彼の脚本作品。

このユーモアというか、歴史的スペクタクル巨編の大河ドラマに独特のギャグセンスと抜け感を持ってくる絶妙な感覚。

1年通して50話以上になるTVドラマとしてはこれぐらいが個人的にちょうど良いのかも知れない。

北条義時、小栗旬。
前半は源頼朝、大泉洋がかなり牽引。存在感としても、話の中心としても。

北条は伊豆を拠点とし、源氏を支えた名家。
鎌倉幕府を支え、源氏を支える一方で北条家の出世と繁栄のために様々暗躍もした家系。

源頼朝がいた頃はその絶対的な存在をあくまで陰で支えてサポートしながらその他の地場の御家人をまとめ、関係を築き、幕府の発展に寄与。

しかし、頼朝亡き後、頼家、実朝と続く代々の源氏の家督争いや、そこに通ずる有力者同士の権力争い。

対外的な朝廷とのマウントの取り合いもさることながら、その幕府内での鍔迫り合いとその渦中で貫き通した覇道。

決して綺麗事だけでは守れない幕府の威信と北条の発展。
これら全てに巻き込まれ、やがて全てを飲み込む男、北条義時。

源頼朝が立ち上げた鎌倉幕府の話と、戦における天賦の才を発揮し逸話も多い源義経、その鎌倉時代から朝廷が敗れ新たな武士の世を告げる承久の乱。

学校の歴史の教科書ではそこがフォーカスされる場面。そこに隠れた影の功労者であり、影の独裁者であった北条義時。
源氏目線でも朝廷目線でもない、この頃の歴史に触れる切り口がとても斬新。

北条と言えば、泰時。泰時といえば御成敗式目。
それぐらいは歴史の勉強で覚えた記憶があるが、北条義時は意外とそんなに覚えることがなかった気がする。
それこそ、承久の乱で出てくる程度。

しかし、これを観ると、鎌倉幕府立ち上げの時も、そもそもそこに至る源頼朝の経緯ですら、北条時政と義時がいなければ源氏の悲願は何も成就しなかったのではないか、と思えるほど歴史上の重要人物だった。

源頼朝、源義経、源頼家、源実朝、源仲章、木曽義仲、などなど、多くの源氏の血筋に翻弄されながら、時には取り入ったり、時には懐柔したり、時には半目したり、時にはまさかの手をかけることも、、、。

手段を選ばず、後半はもはや何かに取り憑かれてるのではないかと言う危機迫る面持ちで。
冷静に、冷徹に。

この最終話。最後の政子とのやりとり。
これが全てを物語る。と言うか、ここで初めて“13人”の意味を知る。

多くの名だたる俳優陣が顔を揃え、佐藤二郎の比企能員はじめ、日曜劇場の池井戸TV版に負けない顔力も揃え、1年通して何十年分かの鎌倉幕府と北条家を取り巻く多くの歴史的な出来事を描く。

それを最終的に、義時と政子で締める最後。
この少し寂しさと恐ろしさを纏う最後が、北条義時と北条家が背負い、苦しみ、それでも前に進んだ歴史の重みを物語る。

エピソード的には他にもいろいろ印象に残ってるがとても書ききれないのが1年ドラマの大河ドラマ、か。

特に今回は実際にあれこれ訪れたこともあって、かなり思い出深く、歴史が身近に感じられたシリーズだった。

次の『どうする家康』もチャレンジしてみるか。
、、、どうする?!トキューサ!


F:1962
M:3563
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