えぬ

二十五、二十一のえぬのレビュー・感想・評価

二十五、二十一(2022年製作のドラマ)
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(あんまり乗れず、10話ぐらいで止まってしまったまま。序盤の主人公二人だけの狭い世界で心を寄せ合っていく様子はそこそこ楽しめて良かったんだけど(残念ながら夢中になれるほどではなかった)、その後周囲の人たちへ…と話の世界が広がって青春を過ごす描写的展開になってからは完全にどうでもよくなってしまった。また途中にちょこちょこ挟まれる現代シーンは、私には邪魔なだけに感じられてしまったのも良くなかった気が。邪魔といえば、ちょっと奇抜な独特のカメラワークも、何度も何度も繰り返されるとしつこくうっとおしく感じてしまった。

二人が完全に対等な関係だった時はその関係こそがこの上なく尊くて輝いて見えたんだけど、一方的に(?)男性だけが大人の立場になってしまうと二人の関係から感じられてた稀有な魅力が一気に色褪せてしまった。二人のラブライン以外も、退屈だったりどうでも…的に関心が続かないし、心に突き刺さるどころかかすりもしないって感じで、話としてもちっとも面白くない(特にヒロインとその母親のエピソードとか)。その上、度重なる理不尽なパワハラも不快すぎて、視聴意欲がすっかりしぼんでしまった。日本もヒトのこと全然言えないけど、韓国も子供の人権や意思がないがしろなのが、私はどうしても好きになれなくて。儒教思想が強いせいか、目上や年上が無駄に威張り散らしていたり、どんなにおかしくても明らかに間違ってても反抗するのも一切許されないみたいな抑圧が日本より強いのが、半端なくストレスすぎてしんどい。日本だとわりと逃げ道はあったりしてここまでじゃないし、中国現代ドラマとかだと普通に平然と歯向かっていったりするので、逆にスカッとするところなんだけど…。韓ドラをいくら見続けても、こればかりはどうしても苦手なままで、一生受け入れられないと思う。

キムテリの演技は評判通りすごいの一言。子供っぽい落ち着きのなさとかエネルギー余りまくっててガチャガチャした動きになるとか、若さゆえに向こう見ず的に視野が狭いところからも将来の無限大の可能性を感じさせるなど、青くて瑞々しい若い姿は高校生そのものにしか見えない。ナムジュヒョクはこれまで見た役柄では良さがわからなかったけど、少しだけかっこ良く見えてきはした。若い頃よりも今以降の方が私には魅力的に見えてくる人なのかもしれないとも思った。でも演技の勘所の良さとかセンスとか表情の多彩さ(というより適切さ)を全く感じないので、キムテリみたいな演技派相手だとかなり物足りない。こういうクオリティ一辺倒は作品なら、やっぱりちゃんと同じくらい上手な人で見たいというのが正直なところ。宇宙少女のボナは男性ハウスキーパードラマのように現代ロマンスの主人公だと弱い・存在感薄いと感じるけど、「キミに猛ダッシュ(ランジェリー少女時代)」と同じく、一昔二昔前の学生役だと却って自然に見えるのが不思議で、透明感が印象的。個人的にはヨンウン役の委員長と親友男性のキャラが好き。でもこのメンバー5人でわちゃわちゃしている描写はただただ退屈に感じてしまうのが私には致命的なんだろう。青春はまぶしいという姿だけでなく、話としてもう少し面白ければなあ…。2人の世界から5人組に広がったことで、ますます面白いエピソードだらけになって充実するはずと勝手に思い込んでたら、全然そうではなかったので。あと出来事的には序盤にいくつか差しはさんでは来るけど、当時の韓国社会を覆ったアジア通貨危機の空気感が全体に感じられないのは、やっぱり青春の輝き・キラキラを優先してしまってるから…?このあたりにもリアリティが感じられないのも、自分にとっての物足りなさの大きな要因な気がする。「キミに猛ダッシュ(ランジェリー少女時代)」では、それはもう痛いほど時代の空気が肌身にジンジンと感じられたので…。)
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