ソラアユム

エルピス—希望、あるいは災い—のソラアユムのレビュー・感想・評価

4.4
題名:エルピス─希望、あるいは災い─
鑑賞日時:2022年12月29日
鑑賞方法:U-NEXT、GYAO
評価:4.4(MAX5.0)

『そうか…“希望”って誰かを信じられることなんだね…ありがとう。』
 

鑑賞期間:2022/11/17~2022/12/29
2022年49本目

【良】
・報道の在り方を自己批判する挑戦的なドラマ
 これをテレビ局が配信することの意義は大変大きいかと。エルピスとはパンドラの箱の中に入っているとされるモノであり、それは希望にも災いにもなり得る。今作では、政界の上層に位置する人間の血縁者が引き起こした未成年連続殺人事件の真実を若いテレビマンとキャスターが迫っていく様を、シュールコメディを随所に挟みつつ、ジャーナリズム精神溢れる巧みな作劇で描いていく。結論は割とあっさりしているのですが、2人の勇姿は必ず世界を変えていく…だろうと思いたいです。

・眞栄田郷敦の飛躍
 今作で最も成長=変化し、魅力的に描かれたキャラクターの岸本を眞栄田郷敦が見事熱演。物語当初は、志の低いイマドキの若者ディレクターなのですが、成長ぶりが凄まじく、物語が進むにつれて精悍な顔つきに変化してく様が大変良かったです。長澤まさみ、鈴木亮平に比肩する存在感でした。見事!

【悪】
・後半部はやや失速傾向
 前半部=フライデーボンボン編の凄まじい熱量と勢いが故の相対的な評価なのですが、後半部=ニュース8編は少しストーリーが失速しているように感じました。長澤まさみ扮する浅川が立場上、記者として動きづらくなってしまったのが大きな要因でしょうか。最終話も完成度で言えばほとんど文句の付けようはないのですが、少しアッサリしていたところはありましたかね…

【まとめ】
 題材の価値や製作することの意義だけに頼らず、エンタメ作品として見事に仕上げた一本。


以上