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両刃の斧のdarumaのレビュー・感想・評価

両刃の斧(2022年製作のドラマ)
4.1
凄かった…さすがWOWOW、めっちゃ引き込まれた。ミステリーで全6話、毎回毎回怪しい人が出て来るんだけど、そのどれもが覆っていく。こんなに続きを食い入るように観たの久々。役者陣も超豪華…中でも柴田恭兵さん!めちゃくちゃいいです。井浦新さんとのW主演で視聴を決めましたが(井浦さんが出てる作品は当たりが多い。一応本作の主軸は井浦さん)、お2人とも素晴らしかったです。

15年前に起きた殺人事件の犯人を捜す物語で、柴田さんの枯れ具合が素晴らしい。むしろ現代パートがリアルに近い御年齢なのだと思いますが、おそらく15年前の姿が実際には近くて、減量されて役作りされているのでは…?(推測です)

たまたま今WOWOWに加入中なのでオンラインで観ましたが、ちょうどDVDが出たばかりなのかな?宣伝記事で「柴田恭兵の最高傑作」と書かれていました。私はあぶ刑事世代ではありますがきちんと観た事はなく、柴田さんの作品の印象があまりないので説得力に欠けるかもですが、この宣伝文句は結構当たっていると思う。当時の柴田さんのイメージをそのまま保ちつつ、さらに渋くなった感じの物凄く重厚な演技です。

井浦さんもよかった!
井浦さんも15年前との対比がちょっとあって、最初は「エライやさぐれたな…!」と思いましたが(笑)、これにもちゃんと意味があります。途中で何となくそのキャラの理由がわかりました。そういった、演技で伏線を張っている人が結構居て(メインストーリーへの関係性の有無はありますが)、そういうのが上手い作品です。

監督は「聖の青春」の森義隆監督。これも視聴の決め手となりました(何度も書いていますが、聖の青春は私のベストムービーの一つです)。是枝監督と同じく、テレビマンユニオン御出身なんですね。それは今回、wikiを見て初めて知ったかもです。

終始シリアスに行く感じがとても良いです。最近はミステリーでもちょっと緩衝材的に笑えるシーンを入れてきたりするのがありますよね?そういうのが全く無いです。なのでストーリーに完全集中して観られます。これは脚本の方の手腕かも知れませんが…鈴木謙一さん、意外や意外!「仄暗い水の底から(ホラー!)」「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」全然イメージ違うかも(後者2つはミステリーと言えばそうか)。中村義洋監督と組んでいた方なのですね。言われてみれば、展開的には確かに同じ系統かもしれません。

鈴木さん、同じ伊坂幸太郎作品の「バイバイ、ブラックバード」というWOWOWのドラマがあるみたいなんですが、ちょうどこれも観たいなと思っていた作品です。
(おおー!「鬼談百景」の天音くんの話を担当してた方なのか…!なるほど。これも毛色が全然違うけど…まさか繋がってるとは思わなかった。驚き)

脇がもんのすごく私好み、かつこちらも素晴らしかった…!!
まず見上愛ちゃん。一瞬だけ、かと思いきや、ちょこちょこ出てきます。
妹ちゃんが長澤樹ちゃん。彼女も結構好きなんですよね。

宇野祥平さん、黒田大輔さん、胡散臭い人がじゃんじゃん続きます…(笑)
が(!)、それを引っ張ることなく、サクサクと進めていく展開が素晴らしい。

坂東龍汰くんも好きなので、おおー!と思った。
奈緒ちゃんの彼氏役です。
あんまり書くとネタバレになっちゃいますが「冬薔薇」を思い出した。
(ただこの物語はミスリードだらけというか、ミスリードでできていると言っても過言ではないので、多分バレない。笑)
彼はこういうポイントで重要な役が当たりやすく、かつ、うますぎる…

奈緒ちゃんも最初は「出番が少なさそうなのに奈緒ちゃん…!」(さすがWOWOW、豪華使い捨て!!)と思いましたが(爆)、いやいや!奈緒ちゃんである意味があった。実は彼女のシーンで唯一泣きそうになりました。

ほか、ほんとちょいちょい豪華キャストが出て来るんだけど、そのどれもに意味がある。
例えば金井勇太さん。留置場の係官みたいな人を演じており「え!何故こんな大した役では無さそうなのに金井さん…?」と思うんですが、実は結構重要なシーンがあります。

あと、個人的に内田慈さんが好きで、彼女もかなり重要な役。
(ってどの人も重要になっちゃう…上にも書きましたが、割とサクサク進む系で無駄が無いので、どの人も重要になってきます)

カトウシンスケさんも最高だった…後ろめたい役が似合いすぎる(笑)

あと川瀬陽太さん!彼はかなりメインキャラです。

とにかくストーリー展開がいいです。比較して申し訳ないのですが、地上波だと全10話くらいでミステリーを扱うと途中ダレる回が必ず出てくると思うのですが、本作にはそれがほとんどない。だけど(!)伏線はちゃんとしっかり張られている。役者さんが皆上手いので、最初の頃に感じた違和感(最初は違和感のある人物だらけ、笑。何かちょっとおかしいような…この人リアクションが変じゃない?みたいな)が、ちゃんと回収されていくんです。それが見事すぎた。

ミステリー観てるとやっぱり犯人当てがしたくなっちゃって、途中で「この人かな…?」みたいな人ができて、それが終盤だともう当たっちゃうこととかもあるけど(で「やっぱり!(=当たって嬉しい)」と思うのと「やっぱそうか。。(=なんだ読めちゃってつまらない)」という気持ちで半々になる)、本作は正直、まったくわかりませんでした。でも、言われてみると、めちゃくちゃ納得するという…

情報が小出しに開示されていきますが、重要な部分は伏線でちゃんと出ており、後出しジャンケン的な要素はほぼありません。それが非常に良かった。

どんどん転がっていく、本格ミステリーが観たい方におすすめ。
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