EDDIE

silentのEDDIEのレビュー・感想・評価

silent(2022年製作のドラマ)
4.5
言わずもがな2022年を代表する地上波ドラマ。耳が聴こえないドラマや映画はこれまでいくつも輩出されてきたが、ここまで新しい気づきを与えてくれるドラマもなかなかない。
しかも実績のない新人脚本家の紡いだ物語だというから尚更驚きだ。生方美久…野島伸司や野木亜紀子、北川悦吏子、坂元裕二などなど、名前を聞けばドラマを観るきっかけになり得る実力派脚本家に肩を並べる日もそう遠くないかもしれない。

何よりもモブまで含め全キャラクターに血が通っているのが見事だった。
川口春奈、目黒蓮、鈴鹿央士、夏帆、風間俊介、篠原涼子、石川恋、桜田ひより、板垣李光人、全員の名前をあげたくなるほどみんながみんな魅力的。
僕は湊斗くんと友達になりたい。

▼Twitterに投稿した各話短評

◆ 第1話
“本気で愛した彼は音のない世界で生きていた”
確かに目黒蓮の声は良い。彼の声が好きな川口春奈。そんな2人がバラバラになってから数年後…再会した時の哀しみは想像していたのに切なすぎる。
川口春奈目当てで観たものの、鈴鹿央士の天才的演技に魅了されっぱなし。

◆ 第2話
“好きになれてよかった・・・そう思いたい”
恋愛ドラマの定石だと、鈴鹿央士が可哀想になっていくパターンでは。超良い奴すぎるし、目黒蓮も川口春奈のこと想っての行動が良い奴だし誰も憎めんじゃないか。
「パンダ 落ちる」検索は脚本家さんの実体験なのだろうか。

◆ 第3話
“今はもう、好きじゃない…今好きなのは…”
湊斗の想い、それは恋愛ドラマで定石のただの当て馬ではない彼の存在。久しぶりの再会、ただ呼んで振り返ってほしかっただけなのに。
恋愛関係以上に湊斗と想2人の友人関係が切なくて…2人のシーンは涙が止まらない。

◆ 第4話
“戻れると思う。元に戻れたら嬉しいなって”
ただの三角関係ではない。そこには湊斗の真剣な想いがある。大切な彼女か親友か。どちらも大切に思うが為の湊斗の選択には心が苦しくなる。
「好きな人がいるから」
単純な言葉が実に深く重い。紬はどう捉えたのだろう。

◆ 第5話
“無意識に名前出ちゃうくらい好き”
好き同士で別れること。
湊斗はどんな想いで別れを切り出したか、それが切に感じられるからこそツラい。逆にそのまま付き合い続けることで紬から言われるパターンもあったのかもしれない。今後2人の関係はどうなっていくのだろう。

◆ 第6話
“音のない世界は悲しい世界じゃない。”
奈々ちゃん…奈々の内面を切実に表す夏帆メインエピ。恋愛は理屈じゃないのが如実にわかるとともに切なさのボルテージも最高潮に。過去の恋愛ドラマの恋のライバルのテンプレを打ち崩すキャラ設定。みんなに寄り添いたい。

◆ 第7話
“自分にだけ飛んでくるまっすぐな言葉”
「なんで喋らないの?」
想の立場になって無神経な言葉を聞くとやるせない気持ちに。紬は自分のためではなく、彼のことを想って言ったことだろう。ただあの職場の人はキツかった。そして紬と想、2人はちゃんと通じ合っている。

◆ 第8話
“伝わらない…一緒にいたくているだけのに”
相手を気遣うあまり「ごめん」と言葉が出てしまう。片方はそんなつもりはないのに、もう一方は迷惑じゃないかと勘繰ってしまう。こんなやり取りはこの2人だからではない。一般的に恋愛は他人とするものだから起こりうる。

◆ 第9話
“誰がどうやって力になってくれるの?”
想の聴力が失われるまで…どんな過程を経て今に至るのか。切なさ通り越して彼の辛さが想像できる見事な演出。母との一幕は涙なしには観られない。さらに兄弟の絆と溝の再生の描き方も素晴らしい。石川恋がお姉ちゃんいいな。

◆ 第10話
“また、何も伝えないでいなくなるとかは許さないから”
「私は気にしていないのに」
相手を想っているからこその言葉が自分本位であることを痛感させられる。本当に一つひとつの言葉選びが巧みなドラマ。相手が気にしていること、相互理解の難しさ。とにかく切ない。

◆ 第11話
“変わったもの、それでも変わらないもの”
「可哀想だからって他人だから言えるんだよ」湊斗くんの印象的なセリフ。
とにかく最後まで“死にキャラ”のいない全てのキャラに血が通った素晴らしいドラマでした。紬と想、湊斗、奈々、春尾。みんな違ってみんな良い。
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