空

庭のある家の空のレビュー・感想・評価

庭のある家(2023年製作のドラマ)
4.2
Huluの無料トライアルが今月で終了ということで駆け込みトライアル。

この世界観と映像クオリティ、久しぶりにさすがスタジオドラゴン!!ってドラマだった。
あまりの台湾ドラマの質の高さに、最近ウェブトゥーン頼みの韓国も頑張ってくれと言ってごめんなさい🙇‍♀️

陰影を強調したメリハリある映像、不穏な空気を引き立たせる冷たい構図、独特なフォーカスポイント、お洒落で高級感あるインテリアに家電、食器の数々、カウンターバーの内装デザイン…一つ一つ全てが芸術作品。
『トッケビ』『君は私の春』の演出家だったんだね。韓ドラ見始めた頃、その圧倒的映像センスに度肝抜かれたの覚えてる(特にメイン演出の『君は私の春』)。やっぱりこの演出家さん好きだ〜。

ラスト3話の伏線回収、登場人物の視点と時系列が切り替わりながら最終話に向けて徐々に繋がってく構成は、良質なミステリー小説を読み進めているような感覚だった。

韓国の俳優さん皆よい仕事するのは言わずもがなで、無名時代から悪役の多いキム・ソンオさんナイスキャスティング。反対もあったけど監督の強い意向でオファーしたとか👏キャスティングの先入観でますます謎の深みにはまるし、映画ではヤクザ役が多いソンオさんの静かな涙はぐっときた。光が射すとブラウンの瞳も神秘的。

あとこのドラマが2作目だというDV夫役のチェ・ジェリム氏。「全てのシーンが一発OKでこの才能ある俳優を多くの人に知って貰いたくてオファーした」と監督が語ってた通り、凄い存在感。今後露出増えそうだな。

ただストーリーの緻密さやキャラクター背景の掘り下げ、社会的メッセージ性は台湾サスペンスの方が丁寧かな。
一見対照的なジュランとサンウンだけど抱えてる闇は同じ、と描きたかったんだろうけど、それまでジュランの心の閉塞感が殆ど描かれてこなかったせいであの結末は唐突で不自然に感じた。サンウンの背景はしっかり丁寧に描かれていた一方で、ジュランの心情変化がとても読み取り辛かった。

それでも極力セリフに頼らない巧みな心理描写や大胆な照明、色の使い方など個性的でダイナミックな映像と演出、センス抜群の美術や小道具たちはそれを超越するほどの吸引力。
映像が美しい映画って欧米にもたくさんあるけど、韓国のエッジの効いた美しさはクセになる。アジア的死生観とアジア人の素の顔のミステリアスさも相乗して、この視覚的な刺激は韓国じゃなきゃ物足りない。


『イカゲーム』以降Netflix独占、オリジナルに大衆向けドラマが集中しちゃってる感じ。出資してるNetflix側の意向なのかな。芸術的で個性的な作品が好きな自分としては最近のNetflixは物足りない。
WATCHAもそうだけど、他のVODに個性的な作品まだまだあるのかも・・
いくつ入会しなきゃいけないの😂😂
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