JFQ

うちの弁護士は手がかかるのJFQのネタバレレビュー・内容・結末

うちの弁護士は手がかかる(2023年製作のドラマ)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

約1年ぶりにやってきた、ただの「平手信者」の感想(笑)
「神」としては「コメディー」と銘打ったドラマも「原作なしドラマ」も初めてで。いや、本当のことを言えば「徳山某」というのもあるにはあるのだけれど(笑)。

けれど「神」的には、「演技とはウソをつくこと?」という疑念を突破して以降が「俳優・平手友梨奈」としての作品なので。つまりは「響以降」がそうなので。

その意味では「キムタクは何をやってもキムタク問題」の令和版である「平手は何をやっても孤高の天才問題」を指摘する声とは裏腹に、「初めて」の試みなのであって。

なので、本人的には「引き出し」や「手持ちカード」がそんなにない状態で突入したわけで。しかも、バディを組むのは「コメディの魔術師メレブ」ともいえる俳優なわけで。差がひどすぎたらメタクソに言われることが必至なわけで。

これはまた中々な戦いに突入したなと思ったのだけれど。でも、逆に言えば、だからこそやってみようと思ったんだろうなと。だって、それが「神」なのだから(笑)

いや、それ以上に重要だったのは「神」の表現テーマでもある「空気になびかず意思を貫くこと(be yourself)」がここでも盛り込まれていたことで。だからこそ、数多あるオファーから1年ぶりに本作を選んだんだろうと。

で。。結論としては「楽しい時間だったなあ」と。
ムロさんも「何が出るか分からないところが魅力」と言っていたように、平手の「一発勝負力」の高さも存分に発揮できていたと思う。

もちろん、ストーリー展開とか、シナリオのアラとか言い出せばいろいろあるよ。病院に忍び込んで看護師を装って患者に聞き込みしたらアウトやろ(笑)とかさ。鷺宮と鷲宮のミスを織り込んだとして、あの辺でタクシーを降りる事までわかるって滅茶苦茶やろ(笑)とかさ。お姉ちゃんの「ウソ」って。ストレートすぎるでしょ、とかさ。

でも、そういうことじゃないんだよ(笑)週末の夜に、疲れた国民に一息ついてもらいたいんだよ。笑いつつ、法律ってそうなんだ~と思いつつ、うるっとくるみたいなさ。で、本当にサンタさんを信じてる天野先生をみて脳が溶ければいいんだよ(笑)

その意味では、そういう視点でのマーケティング含めたいしたものだったと思う。

それはそれとして。このドラマを雰囲気よく観られたのは、今の日本人の願望をうまくすくいあげられていたからだろう。ドラマの主人公と同じく、2023年の日本人の平均年齢は50歳になった。

つまりは、この国は「おじさん/おばさん」になった。なので、もはや「なんたらフライデー」で盛り上がるほどのエネルギーはない。それに「何にでもなれる自分の可能性」なるものを信じる力もない。

だから、給料の高いところを求めて移動し、生産性を高めて、経済の成長を…みたいな事を実現する力もないし、そもそも、それが「やりたい」とも思えない。

そんな状況で望むことといえば、とりたてて才能がない自分でも、頼ってくれる人がいると。その人のために尽力して「助かった」と言ってもらえると。で、そういう気分をわかっている仲間達が職場にいて、アホなことも言い合いつつも、互いに支え合って、その日を送れると。

たぶん、それが「平均年齢50歳の日本」を生きる人々が今ぼんやりと「こうだったらいいな」と胸に抱く感覚だろうと。それがこの国の未来にとっていいことかはおいといて、そういう感覚をうまくすくいあげているなあと。

ただ、本作では、そうした「こうだったらいいな」には入ってこないものも、うまくまぎれこまされていて。で、それが一番重要だし、だからこそ「神」も本作に挑んだんだろうと思うところで。

それは「意思があるヤツを先導者に据えること」だ。

本当に。自分も含めだけれど、今、この社会に生きる人のほぼほぼは「意思」がない。だから、すぐに空気になびく。主人公のように、頼られれば、経験や能力を駆使して最大限尽力できるが、自分自身から「こっちに行きたい!」がない。

けれど、みんながそうでは「どこにも行けない」。人当たりがいいヤツや、物分かりがいいヤツが山のようにいても「どこにも行けない」。だからGDPの国際比較を含め、いろんなデータをみても、日本だけグラフが30年横ばいの状態だ。

だからこそ「こっちに行きたい!」という人が重要になる。「推し」が近年の重要ワードになっているのもそういうことだ。そもそも「こっちに行きたい!」がいなければ「そっちに推す」もないのだから。

で、このドラマには「こっちに行きたい人間」が1人いる。

法律は「それはできない事となっております」と人々に門前払いをくらわせるためにあるものではない!「あなた様だけは門を通しましょう」と権力者を優遇するためにあるものでもない!これまで門の前ではじかれていた人間に「あなたにも入る権利があるのです!」と世界を解放するのが法律だ!と。

その原則が浸透しない社会に怒れ(angry!)と。その原則で満たされた社会を目指せ!と。そのためならば親族の名誉を守るとか、そういうことは大事かもしれないが、そういうことじゃないんだと。
「そういう場所に行きたい」と。そう思う人間が1人いる、という作りになっている。

そう考えるなら、このドラマの最大のテーマは、そういう「手のかかる」人間を先導者に据えられるか?だ。

この国が本当に「よい週末」を送ることができるかは、そこにかかっていると。小ネタの元ネタドラマを「考察」するのもいいが、そういうことも「考察」してくれと。
ドラマはそう言っているんだと思う。私からは以上です!。
JFQ

JFQ