ウシュアイア

君となら恋をしてみてものウシュアイアのレビュー・感想・評価

君となら恋をしてみても(2023年製作のドラマ)
3.5
鎌倉・江の島に縁があり、本作の舞台が江の島ということでちょっとだけ覗いてみたら、25分5話で完結だったのでそのまま完走してしまった。『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を観始めた動機と同じだ。

全体的な印象としてはBL版『海街Daily』。
BLにカテゴライズされているが、後のネタバレありの部分でも詳しく書くが、いわゆるBLというよりもがっつり男同士のラブストーリーで、示唆に富むところがあった。『チェリまほ』はSFとして『おっさんずラブ』はコメディとして観ることができるが、男同士のラブストーリーなんて見たくないという人にはお勧めできない。

また、深夜帯に放送されるティーン向けのドラマやBLドラマは若手俳優の登竜門的なものになっていて、あまり一般には知られていない俳優が出演していることもあり、お芝居は残念なものも少なくない。(『チェリまほ』もちょっと演技が微妙な俳優さんもいた。)そんな中で主演を務めた日向亘は異彩を放っていた。『中学聖日記』で出てきた水上恒司(岡田健史)を思わせる。



以下、ストーリーのネタバレあり。



ストーリーとしては、ゲイの男子高生・天(あまね)は家庭の事情により江の島近くの祖母の家で暮らすことになり、父親を早くに亡くし家業の食堂を手伝う龍司と出会い恋をするという話である。

天は女子からも告白されるほどのイケメン設定で、以前に勇気を出して自分がゲイであることを想いを寄せていた同級生にカミングアウトしたものの、相手に冗談だと茶化されてしまったことをきっかけに、周囲に対して斜に構えて茶化すようになり、天の振る舞いは斜に構えたオネエになり、直球勝負の恋愛を避けるようになる。勉強はあまりできないものの苦学生のイケメン龍司はそんな天を斜に構えた態度をたしなめたうえで、友人として受け入れた結果、天は直球勝負の恋愛のマウンドに立つことになる。

この心理描写が同性愛者に共感できるものなのかどうかは分からないが、葛藤を伴う純粋なラブストーリーと言えよう。BLって女性には理解できない男性同士の友情の機微に補助線を引いてゲイとバイとか性的志向とは無関係に男同士で恋愛するものだと思っており、本作はBLとしているものの、ゲイの男子高生が恋をする話なので、ただの男同士のラブストーリーと認識したのだが、違うの?BLって女性向けの男同士のラブストーリーということなのか?

ただ、龍司はあまりにも聖人君子然としており、人間的には誠実そのもので、天が茶化しながら同性愛者であることをカミングアウトしても、ほとんど動揺することなく受け止めて、むしろ天の態度をたしなめているほどである。そんな高校生いるんのか、とリアリティは感じられなかったものの、友人として付き合っていた天からの告白に対する”保留”扱いの回答はもはや模範解答。恋愛における誠実さとはかくあるべし。リアリティや共感も大切だが、正しさや誠実さの提示は時には必要だ。
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