地方の地元県立トップ高校・県立橘第一高等学校(通称「一高」)の入学試験前日の準備日に、校内に「入試をぶっつぶす」という脅迫めいた張り紙が張り出され、匿名掲示板上では、入試を妨害するような書き込みが連投されていた。そんな中、教師たちは様々な異変を感知しながらも、ただのいたずらと高を括り、粛々と入試の準備に勤しみ、翌日の入試を迎えるものの、大きなトラブルへが巻き起こっていく、という学校を舞台にしたサスペンスドラマ。
入試前日から入試翌日までのおよそ２日間、高校までを海外で過ごし旅行代理店勤務を経て着任した新任英語教師春山杏子（長澤まさみ）の視点を中心に物語は進む。時間軸は短く、かつ狭い範囲での会話劇を主体に、何者かによって入試の妨害が企てられ、誰が、どのようにして、何のために、という謎解きが見どころ。
さわりの部分だけでも、公立高校入試の在り方に一石を投じていることはよくわかる。地方には出身高校による序列が地元でのヒエラルキーになりうること、そのために高校入試が過熱化し受験生に大きなプレッシャーを及ぼすこと、そして教師や親がどう受験生と入試に向き合うか、という教育的な問題提起がなされている。また、匿名掲示板上で飛び交う内部事情の漏洩や憶測やデマ、誹謗中傷は、１０年前の作品でありながらも、今でも場所がSNSに移っただけで全然変わっていないこともよく分かる。
深夜ドラマということで１話３５分程度。短い１話１話で緩急がついており、とても見やすい。
中村倫也、高杉真宙、山崎紘菜、美山加恋、清水尋也などもさり気なく出ており、今見るとなかなかのキャスティング。
