1970年代バンコク。主人公は婦人科のお医者さん。ひょんなことから新聞の”性のお悩みQ&Aコーナー”を担当することになり、妻がいるのに新聞社の同僚といい感じになって…

読者の性のお悩みがティーンエイジャーからだんだん大人の深刻な悩みになっていき、最初は微妙かと思ったけど案外見応えがあった。
あれやこれやで割と頻回にベッドシーンがあり家族の前では若干見づらいドラマだった。

主人公のお医者さんは妻がいるのに別の女性と


～ネタバレ～


浮気して三角関係になってその顛末がもう最悪なんだけど。妻と恋人が同時に妊娠するっていう。いったいどういう結末にするのかと思ったら、決着つけずに終わっちゃって残念だった。セカンドシーズンに続く感じなのかな。

新聞で性にまつわるお悩み相談の投書コーナーを受け持つ事になった皮膚科医（当時のタイではどうやら婦人科）のナット。
編集部の策略で『ドクタークライマックス』として本名を伏せて連載をし、世間を騒がす事に。

これまた本当にとんでもないドラマだった。
Ep4あたりから全く違う作品を見ているのではないか？と思うくらいドンドン泥濘にハマっていく。

ナットは、顔の見えない読者達に褒められ感謝され己のドクターの立場をもって偉い事、正しい事を言ってきたが、その一言一言が確実に跳ね返り続けた。自分で編んだ綱で自分の首をくくり、わざわざ締め付けている。
どんなカッコイイ事を言おうが、彼は所詮やはり70年代の仏教国の男なのだ。
そして、年代も宗教も関係無く、そもそも論として、どうしようも無く最悪で医師免許を持つだけの博識な怪物であった。
ただし、彼もまた時代の流れの犠牲者であり、その時代に生きる無意識の加害者だった。

身勝手だと認める勇気、弱虫だと認める勇気を貰った相手にナットが与えたのは、いや、押し付けたのは“身勝手”だ。
リンダにした事、トゥクタにした事、現在進行系でしている総ての身勝手に対するアンサーが“身勝手”じゃ、救いなんてある訳が無い。
『ドクタークライマックス』がどれだけ正しくても彼が『ナット』である以上、誌面ではなく現実世界に人としての人生があるのに、ペンネームで活動する事でその二面性がまるで別人格のように分離してしまった。（しかしこれは決してリンダが悪い訳では無い。ナットの自分本位な身勝手の末路、でしかない）

やはりポルだけが「未来」で「光」だった。
若いポルは常に他人を思いやり行動し発言した。彼にとっては『ナット』＝『ドクタークライマックス』だったから“師匠”だが、ポルはナットの善性にずっと賭けていたし、ドクターの教示を咀嚼して自分の力で考えて取捨選択する事を忘れなかった。
編集長は悪人じゃあないけれど、結局は何も知らない仕事人で一読者で蚊帳の外だし、ティエンは言わずもがな、である。

正しい事を言えるのと正しい行いをとれるのは別物で、行動が伴わない正しい意見なんて、それは無いのと同義だ。無い、のだ。

リンダの一言で続編があるのかな？とは思えるけれど、続編を拒絶したいほど壮絶なラストだった。たった一言で吐き気がするほど鳥肌が立ち、冷や汗をかき、呆然とした。これはヤバいドラマだ。

コンデート脚本を漁らねばならない、とまたタスクを増やしてしまった。クソ忙しい……

すごく面白かった。
シーズン2もあるのかな？
主人公は自分の事に未熟だけど答えを見つけようとしているし、7話は号泣した。
まだ性教育をしてないに等しい70年代のタイの問題やネタバレ嫌なので書かないけど時代や社会の残酷さも描いていてでも笑えて、性描写はあるけど面白いドラマだった。

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