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恋ノチカラのtubameのレビュー・感想・評価

恋ノチカラ(2002年製作のドラマ)
4.5
手違いで憧れの人が独立して作った会社に引き抜かれて転職した30歳の女性が恋と仕事に邁進する物語。


結構好きで比較的何度も観ているドラマ。
タイトルからしてゴリゴリの恋愛ものっぽい感じがするが、実際にはお仕事ドラマとしての側面も強い。
2002年の作品ということで「大企業で終身雇用が約束されてるのに転職!?」なんて台詞が初回から出てきたりするが(年代的に氷河期の頃かな?)、基本的にはやりがいと安定どちらを選ぶか等、働く人の普遍的なテーマが描かれており今でも充分面白い。


主人公の籐子(深津絵里)は片付けが面倒臭くて部屋が常に汚い・努力せず綺麗になりたいので健康器具を揃えては飽きる・不幸な他人をTVで観て自分を慰めるなかなかのグータラ女子。友達と飲みに行っては頻繁に「あんた30なんだから夢みるな」と釘を刺される(この友達もユーモラスで嫌な感じがしない)の、現代の感覚だと自虐的過ぎる印象だけど年齢を重ねるほど腰が重くなるというのは確かにある...。それだけにそもそもの根が真面目で与えられた場所で頑張りつつ、どこかで夢も捨てない等身大の籐子は共感しやすく、応援したくなるのだろう。


また、堤真一演じる相手役の貫井もプライドが高く面倒臭いところがありつつ、広告に懸ける強い気持ちを持ったクリエイターであり、少年のような子供っぽさや人間的に不器用なところを併せ持つという多面的でどうにも惹かれてしまう魅力的なキャラクター。
堤真一がどれくらいの作品に出演しているか分からないが、個人的にはかなりの当たり役と思う。
籐子と貫井が言い合いしたりワーワー騒いだりする姿はまるで中学生みたいで微笑ましい。いい年齢の人が揃っているわりには恋愛パートは少女漫画レベルの可愛らしい感じなので、恋愛ドラマが苦手な人でも観やすいと思う。


その他、素直で可愛らしい籐子の同居人・春奈(矢田亜希子)、愛嬌に溢れた貫井の後輩・宗吾(坂口憲二)、貫井の先輩で仕事が出来る営業マン・吉武(西村雅彦)など、魅力的な人物揃いでみんな幸せになって欲しい!と思ってしまうほど。個人的には皮肉言うけど結構ノリもいい吉武さんが初めて観た時からずっとツボ。3枚目も吉武さんみたいなカッコいい役もやれる西村雅彦は芸達者だなあ。


元々夢みがちな要素を多分に含んだストーリーで、終盤は特に理想を形にしたような漫画的っぽい展開。それでも誰に言われるでもなくひたむきに仕事をしてきた女性が報われる結末は爽やかで気持ちが良い。前向きになれる良ドラマ!
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