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きのう何食べた? season2のtubameのレビュー・感想・評価

きのう何食べた? season2(2023年製作のドラマ)
4.7
弁護士のシロさんと美容師のケンジの日常を描くseason2。原作はよしながふみのコミック。

一応前のseasonも観てたはずだが、全然覚えてなくて今回から真剣に観たような格好。もう率直に言って滅茶苦茶良かった。
年齢と共に仕事が忙しくなったり、油ものが苦手になったりなど変化も起きるけれど、二人が変わらず一緒に過ごす時間を大切にしている姿に心を打たれた。
シロさんとの日常の些細な出来事の共有を大事にするケンジ(普段いかつい役をやっている内野聖陽の柔らかくて可愛い芝居はいつ見ても凄い)。口には出さないけどケンジを思い遣るシロさん。
何気ない出来事が本人の気持ちひとつで全部宝物になるんだということを、二人は示してくれた。
ゲイカップルだが、内容自体は大切な人と過ごす時間の尊さを描いたもので同性とか異性とかそういう枠組みは関係なく、普遍的で多くの人の心に響く物語と思う。


今回は年齢的に中年ということで、老いや将来的な問題、老いた家族との関わりなどかなり踏み込んだ話題も多く考えさせられることも多かった。
結婚できない同性故の問題も描かれるが、シロさんの家族もケンジの家族も二人の価値観を尊重する優しさと深い理解があって、これはさすがに現実的には厳しいかもな...と思わないでもないけれど、どんな生き方をしていても尊重されるこんな柔軟な世界であったらいいなと思う。


若い時こそ至高みたいな若者讃歌の作品は世に腐るほどあるけれど(そういう作品も好きだが)、実際の人生は老いてからが長いわけで、ともすれば年齢を重ねたら辛いことばかりで価値無しみたいに誤解しかねない状況はどうなの?て子供の頃から疑問に思っていたので、こういう「年齢を重ねると出来ないこともあるし大変なこともあるけど、楽しいこともあるし乗り越えられることもあるよ」という全うな主張を持った作品が現れたことが嬉しい。
大袈裟なようだけど、本当に人生観にポジティブな影響を与えたと思う。
多幸感溢れる素敵なドラマだった。
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