次郎

ベター・コール・ソウル シーズン4の次郎のレビュー・感想・評価

4.6
人間ドラマとしての完成度が更に高まったシーズン4。今回はジミーを演じるボブ・オデンカークに終始圧倒されていた。最終話におけるジミーの慟哭は競争社会アメリカに声なき声として蓄積されている、勝者から蹴落とされた者の苦しみそのものだ。そこからの「弁護士ソウル・グッドマン」誕生シーンには、本家におけるS4EP13の後戻りできない感覚を思い出した。まぁ、あっちの方が数段酷いけど…。
そして、それと同じぐらい印象的だったのがキムの立ち位置。ジミーとの対比でついつい善側として見てしまいがちだけど、パブでのやり口や今シーズンでの言動を見れば分かる通り、彼女も彼女でBreaking Badしている。むしろEP8での彼女の行為こそがソウル・グッドマン誕生への大きな契機となっている訳で。本当にキムの未来はどうなってしまうの…。
反対にマイクのエピソードはこれまでに比べ穏やかだったけどラストで激変。愛すべき存在であるヴェルナーは「きれいなウォルター」とでも言うべき存在であり、10話における展開は否が応でもジェシーのことを想起させる。後付けとは分かっていても、こうやってBrBaと重ね合わせてくるのほんとズルい。
そしてシーズン終盤に現れる、更にヤバそうな気配のサラマンカファミリー第3の男。ナチョはガスとの関係も然り、上司難の相でも抱えているのか。お願いだから一度お祓いに行ってきて。

それにしてもアバンタイトルの完成度が凄まじい。ストリーミング時代における視聴者確保の鉄則に「まずはOPで掴む」というのがあるけど、毎話の様にここまで吸引力を持ち得る作品は他にないのでは。シーズン恒例となる1話、怖すぎガス様な2話、ナチョ最高のつらみな3話、サプライズだった5話、ノスタルジアな6話&10話と挙げ出せばキリがないけど、やはり最高なのは7話。徐々に疎遠になる2人の関係を黒味がかっていく衣装と綺麗に対応させながら、対比構造のショットでキメキメに魅せていくのは必見。
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