April01

ザ・クラウン シーズン6のApril01のレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン6(2023年製作のドラマ)
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記録
本ファイナル・シーズンはもはや歴史ものではなく、少し前からの現在に入っているので、登場人物のエピソードがリアルすぎて、会話にしても憶測の域を出ない類のものが多く、さらにスキャンダルとして看過するにはあまりにも生々しい記憶が蘇る部分も入るため、あまり楽しめなかった。

色々思うところはあるけれど、ロイヤルズであるために自らの人生において犠牲にしたものがあることはよくわかる。

マーガレット王女役のレスリー・マンヴィルの演技が素晴らしい。病に侵されていく過程とエリザベス女王との思い出をリンクさせ、人生の終幕を迎える様子がエモーショナル。これまで演じてきたヴァネッサ・カービー、ヘレナ・ボナム・カーターに引き継続き、容姿は違えど、人間性に一貫性が感じられるのは見事。

ウィリアムとハリーの少年時代を演じた2人の面影が激似で、どこから見つけてきた?って感じ。なので、ダイアナ亡き後に青年の俳優さんにスイッチした時はかなり違和感あった。特にハリー、ん?誰よ?ってなった。ウィリアム役はだんだん慣れてきて本物っぽく見えてきた。

チャールズさんについては、イメージコントロールにウィリアムを利用というのはドラマ内のセリフとはいえウィリアムの言う通りかな、と思えたし、ウィリアムが感情を抑えて現実的に生きることに徹してカミラとの結婚を許したというくだりは印象に残る。

これまでも思ってきたことで、もはや個人の価値観による偏見にすぎない感想になってしまうけど、特にトニー・ブレアの人気に不満とか歴代首相の好き嫌いを言ってのけるあたり、傲慢な特権階級ロイヤルズ丸出しな場面は改めてドン引き。
少なくとも選挙という民主的手続きを経て選ばれた大国の首相の陰口を叩き王室不要論が気に入らないと言うロイヤルズの方々は気に入らない。英国民でないので関係ないけど。

ブレアが出した改革案に伴い明らかになったロイヤルズの人件費に笑う。伝統的で歴史があるから残します、変えませんのくだりにはフーンって感じ。もはやコントのレベルだった。

故エリザベス女王がサブライズで独断で王位をチャールズに生前譲渡する意思があったとか、そのスピーチのページを土壇場で端折ったとか、色々フィクションすぎる点は気になったけれど、そこまでの意思表示ではなく自分の退位が近い未来に来ることを予感させる未来志向で前向きなフレーズくらいは仄めかすレベルで言う気があったかもしれない、という想像を働かせることはできた。
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