最高のドラマ。ファッションやヘアスタイル、舞台装置など60年代のニューヨークを華やかに再現している。ビジュアルそれ自体も本作の大きな魅力となっているが、ビジュアルが華やかだけに、その裏で登場人物たちが抱える後ろ暗い悩みとのギャップにグッとくる。
時々1960年の歴史的な事実とクロスすることでアメリカ人には日本の『三丁目の夕日』シリーズのようなノスタルジーすら感じさせる効果を生んでいるのだろう。それでいて登場人物は皆、病んでおり問題を抱えていて現代人もリアリティのあるドラマとして見ることができる。
シーズン1は核となる広告業界のお仕事ものとしてのドラマとホームドラマに加え、ドンという男の秘密が手際よく少しずつ、そして劇的に明かされていく展開がとても上手いし、面白い。5話で登場したアダムとのやりとりのスリリングさはシリーズの中でもトップクラスの出来。彼の暗い過去が明かされていくのと同時に、理想的なアメリカの家族のようなドレイパー家の関係が少しづつ崩れていく様子も非常に丁寧に描かれている。
さらにもう1人の主人公、ペギー・オルセンの終盤の体重増からの衝撃展開はドラマ史に残るサプライズと言えるだろう。このようなある種リアリティを超えたトンデモな展開が挟み込まれるのもこのドラマの魅力。
ユーモアたっぷりの7話,9話も面白いし、下ネタを洗練されたユーモアでコーティングした11話も素晴らしい…とにかくシーズン1から完璧なドラマだった。
吹替も最高。