山岡

スタートレック:ヴォイジャー シーズン6の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

シリーズ完結を前に話が大きく動きそうで動かない、なんとももどかしいシーズン。とはいえ、ボーグが多数登場したり、久しぶりに宇宙艦隊との交信が成功したり、ケスがゲスト復帰したりと色々と嬉しいこともあり、それなりに楽しく見られた。中でも、シーズン中盤に傑作エピソードが集まっていたように思える。

EP9 「果てしなき疑惑」
情報過多になったセブンが疑心暗鬼になるという話。S1-EP1のエピソードを中心としてこれまでのヴォイジャーの過去の話を上手にリンクさせている。ジェインウェイの黒幕説など妙に説得力があるのが笑える。情報過多に陥った人間が陰謀論に走ってしまうというプロットは放送時よりも2020年代の現在こそ重要なメッセージとして受け取ることができる。

EP10 「遙か彼方からの声」
久しぶりにアルファ宇宙域とデルタ宇宙域がリンクする話。同じ趣向のエピソードはシーズン4でも存在し、そちらもシリーズを代表する名作となっていたが、今回は、それに輪をかけて感動的な内容。TNGでお馴染みのキャラクターであるディアナとバークレーを登場させることで、ヴォイジャーが向かっているアルファ宇宙域が我々の知っている、あのアルファ宇宙域だとリアリティを持って認識することができるようになっている。また、ヴォイジャーが後半までまったく登場しない大胆な演出は二つの世界の隔たりを見事に表現している。事態を打開するのが、あのヘタレキャラのバークレーというものも感動をより高めてくれる。このエピソードでバークレーはホログラムのヴォイジャークルーと長い時間を過ごして親近感を覚えているという完全に視聴者と同じ立場にあるキャラクターとして感情移入を促す。様々な仕掛けが上手く機能した傑作。

EP12「超進化惑星の煌めき」
時間の流れがヴォイジャーよりも遥かに速い惑星の歴史を観測する話。手塚治虫の『火の鳥 未来編』の後半のような壮大なスケールのとてつもなく大きな感動を与えてくれる。いわゆるウラシマ効果的な感動もあり、とても見応えのあるSF作品となっている。

シーズン7でヴォイジャーは帰還できるのか、そして帰還した先に何が待っているのか…とっても気になる。
山岡

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