山岡

三体の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

三体(2023年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『ゲーム・オブ・スローンズ』のクリエイター陣による今年一番の注目作。

原作『三体』の壮大で不気味な世界観をしっかりと生かしながらも大胆に脚色し、とても見やすいドラマシリーズとなっている。

EP1〜5は、原作第1巻をベースにしたストーリー。原作に忠実に映画化すると第1巻だけでも20話くらいにはできそうなボリュームの内容だが、非常にテンポ良く周到にまとめられている。主な舞台をイギリスに変え、さらに原作の主人公格のキャラクターの役割を複数のオリジナルキャラクターに担わせ、人間ドラマの要素を加えることでドラマシリーズらしい見易いタッチとなっている。各話ごとにわかりやすいクリフハンガーが用意されているが、特に5話のラストはミステリー的な快感と終末モノのSF映画の愉快さが味わえる素晴らしいものだった。あと個人的には原作で最も読みづらい箇所だったVRゲームパートをリッチなCGでビジュアル化してくれたのが、とてもありがたかった。

EP6〜8は原作2,3巻のエッセンスをミックスしたオリジナルの展開を見せる。片思いの相手に星を買った男の話や面壁計画など、原作ではハイライトといえるような展開がこれでもかと出てくるのだが、ビジュアル的な魅力や派手なサスペンス要素などがない分、前半と比べて物足りなさを感じた。最終話のラストも、かなり弱いと思う。

それにしても、あの異常な原作をきっちりと生かしながらよくぞここまで見易いドラマシリーズに仕上げたと思う。このあと、原作2、3巻では読者の想像を超えるとんでもない展開が待っているのだが、この物語をデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスはどんな風に調理するのか、楽しみで仕方ない。
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