うにたべたい

怪奇大作戦のうにたべたいのレビュー・感想・評価

怪奇大作戦(1968年製作のドラマ)
4.4
ウルトラセブンの次に放映された空想特撮シリーズ5作目。
円谷プロ制作のウルトラシリーズの一作ですが、光の巨人も怪獣も出てこないです。
SRIと呼ばれる不可思議な事件捜査を担当する研究組織のメンバーが、次々発生する事件に対する活躍を描いたものになっています。

本作の前三作とは違い、本作には超パワーを持った戦士は登場しません。
事件と刑事、そしてSRIという生身の人間を主役にドラマ展開がされているため、比較的地味といえば地味な作品です。
一話完結型なのですが、個別のストーリーも暗く、わかりにくいものも少なくないです。
メインキャラに少年少女がおらず、当時誰をターゲットにしていたのか首を傾げるような作品ですね。
そこそこヒットしていたのですが、全2クールで終了することが決定、本作終了によって円谷プロは仕事がなくなり、やむなく、円谷プロは東宝の子会社化しました。

そんないわくのある作品ですが、放映終了後も何度もリメイクされ、50年以上前の作品にも関わらず現代においても知名度は低くないです。
ウルトラマンなどに比べるとキャッチーさはないですが、やはり独特の雰囲気と、ストーリーの強いインパクトが人気ではないかと思います。
事件が次々起こり、それらの事件をSRIが科学の力を持って解き明かすのですが、壁を抜けて現れる怪人、電話を取ると燃え上がる人体、人形が起こす殺人、冷気を上げながら歩き回る冷凍人間など、事件そのものが非現実的でワクワクします。
また、子供向けの特撮ドラマなのに、残酷でグロテスクな描写も多く、目を背けたくなるシーンも多いです。
物語のテンポもよく、毎話夢中にさせてくれます。

とはいえ、割と最後まで見てもよく分からなかったり、事件の不思議な部分が、そもそもなんのためにやっていたのかわからない回も少なくないです。
一方で、街を歩く女性が前触れなくバラバラになって殺される"かまいたち"は特に名作に思いました。
事件も恐ろしいですが、この作品はラストが特に恐ろしいです。一見の価値ありと思います。
ウルトラマン、ウルトラセブンでたくさんの名作を監督した実相寺昭雄作品もあって、"死神の子守唄"、そして"京都買います"なんかは本当に名作です。
なお、怪奇大作戦には、永久欠番となった放映回があります。
24話の"狂鬼人間"がそうなのですが、SRIで冷静沈着な頭脳人間、牧さんが狂人にされ笑いながら街中でピストルをぶっ放すシーンがあって、個人的に大好きなのですが、現在視聴困難なのが悔やまれます。