山岡

SUPERGIRL/スーパーガール <ファースト・シーズン>の山岡のレビュー・感想・評価

4.0
現在、アローバースを本国放送順に鑑賞している。これまではアローとフラッシュを交互に見ていたが、スーパーガールが加わって3作品を同時並行で見ることになり(さらにシーズン中にレジェンド・オブ・トゥモローも加わって4作品に!)、さらに複雑化、個々の作品世界の出来事を記憶するのにかなり頭を使うように…だけど前シーズン以上にアローバースにハマってきた!!

陰鬱な『アロー』と比べて『フラッシュ』はかなり明るめ、コメディタッチ全開の青春ドラマだが、それに続く本作『スーパーガール』も、『フラッシュ』ほどギャグの弾数は多くないものの、明るくて抜けのよい青春コメディ。

まず主人公のキャスティングが素晴らしい。明るくて、前向きで、強くてキュートなスーパーガール。美人なんだけど少し鈍臭くて荒削りな感じ…体格も含めて余りにもメリッサ・ブノワがハマり過ぎている。クリストファーリーヴのスーパーマンと同じくらいにピッタリだと思う。

そしてヒーローモノの主人公の成長に欠かせないのがメンター役。本作では姉のアレックスやハンク長官など複数のキャラクターがその役割を担っているが、最も輝きを放っていたのがキャリスタ・フロックハート演じるキャット・グラント。基本的には部下のカーラを奴隷のように扱き使う冷酷な社長だが、酸いも甘いも経験してきた女性の先輩として、仕事や恋愛、スーパーガール活動に悩むカーラを支える情深い面も持っている。カーラの影響を受けて、彼女自身も少しずつ人間的に成長していくさまが非常に興味深い。シーズン最終回で『ワーキングガール』を引き合いに出していたが、どうしても『プラダを着た悪魔』を想像せずにはいられない。あとコメディリリーフとしての役割も担っている。スマートなんだけど茶目っ気たっぷりの彼女のキャラクターは『アリーmyラブ』のアリー・マクビールが年取った姿にも見えなくもない。

また、テレビドラマでありながら、毎回毎回、スーパーガールが空を飛行するシーンや宇宙人とのバトルなど全くジョボさを感じ無いところもかなり気に入っている。

個人的なお気に入り回は以下の2つ。

まずEP1。力を抑えてきたカーラが飛び上がり、スーパーガールになるシーンの高揚感はヒーローものらしい、普遍的な魅力を持っている。また、カール・カールトンのブギーに乗せてウィンと服を選ぶシーンも微笑ましい。

そしてEP15。
ウェブ空間を使って瞬間移動できる能力をもつ強敵インディゴが登場する回。キャットに芸能人のゴシップ情報が入ったメモリースティックが届いてから、核兵器が発射されるまで息もつけないほど怒涛の展開で鑑賞時の興奮度はシーズン最高レベル。ラブコメディ要素も強いところもこのドラマらしくて良い。

女性のエンパワーメントをヒーローに託した映画としては『ワンダーウーマン』『キャプテンマーベル』という大傑作がよく知られており、それらに比べると、男性がカーラを見守っている点やオフィスラブが多発している点などから純度は低いかもしれないが、共感度を高めるには本作のアプローチもありなのではないかと思う。(序盤の展開でしっかり『スーパーガール』の『ガール』という言葉にツッコミを入れるなど実は絶妙に考えられたバランスだと思う)

またアローバースの大きな魅力の一つであるクロスオーバーについても言及したい。今回、アローバースの他作品と本格的なクロスオーバーが見られるのはEP18でバリー・アレンが登場する回のみ。ここで、スーパーガールの世界がフラッシュやアローの住むアース1とは別世界であることが明らかになる。アローバースのバランスを崩しかねないほど協力なパワーを持ったスーパーガールを別世界に設定したのは大正解だと思う。
山岡

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