こたつむり

トリック新作スペシャルのこたつむりのレビュー・感想・評価

トリック新作スペシャル(2005年製作のドラマ)
3.0
★ 昨日見かけた宇宙人 歌うよ ららら
  今日も佇む悲しみの空 歌うよ ららら
  何もないから 何もないけどさあ ららら

『TRICK劇場版2』の裏面。
とは言っても、直接的な繋がりはありません。
劇場版と同時期に撮影し、劇場公開に合わせて地上波で放映した作品…というだけですね。

そして、正直なところ。
この後に続く『新作スペシャル2』や『新作スペシャル3』と比べて印象が薄いです。ほんの少し時が経てば記憶からフワッと消えてしまう…そんな淡い雪のような物語でした。

思うに題材からして既視感満載。
死ぬ時期を当てる…というのは予知の類なわけで。その超能力はシーズン2の『100%当たる占い師​』で既に描かれているんですよね。寧ろ、死の時期だけに限定している分、能力としてはグレードダウン。

また、そのトリックにしても。
強引さを感じさせないように配慮しているのか、印象が薄くて、サラリと流れる川のよう。何というか、毒気を抜いたら旨味も落としてしまった感じ。登場人物の魅力に頼り切った感が強いのです。

ちなみに脚本を仕上げたのは林誠人さん。
テレビシリーズで『絶対死なない老人ホーム』や『パントマイムで人を殺す女』の脚本を執筆された御方ですね。思い返せば、両方とも無難な仕上がりでした。手堅いけど野性味がないのです。

まあ、そんなわけで。
2時間ドラマなのに60分の刑事ドラマを鑑賞したような後味の物語。事件よりも定番の山田と上田の絡みに着目するくらいしか楽しむポイントはないかも…。

というか、二人の関係性もねえ。
進展するのかしないのか、という美味しい部分は劇場版が担っていますので、テレビスペシャルはあくまでも導入剤。商売っ気が見え隠れするのは…うーん。

それと矢部警部補の相棒も今回で3代目。
…なのですが、山田と上田の絡みが少ないため、こちらも印象が薄い…というか、矢部警部補自体の頭髪…じゃなくて、存在感も薄い…。塩分控えめと考えれば良いのかな…。
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