こたつむり

最愛のこたつむりのレビュー・感想・評価

最愛(2021年製作のドラマ)
3.5
2021年10月基の覇権ドラマ。
タイトルだけだと純愛ものに見えたから避けていたんですけどね。サスペンス要素が含まれている…と聴いたら手を伸ばしたくなるのも当然。同じように忌避感を抱いた家族を巻き込んで鑑賞しました。

うん。確かにタイトル詐欺。
最終話のギリギリまで「犯人は誰か?」という部分は明かされず、「これはとんでもない展開が待ち受けているのかも?」なんて期待させちゃうのです。

しかも、ロケ地が神懸っているんですよ。
主人公たちの故郷を白川郷に設定した時点で、脳裏に浮かぶは“あの物語”。表層はホンワカとしていても。たった一言「嘘だッ」と言えば反転する世界観。

そう。これはサイコの話ッ!
とんでもなくヤヴァイ奴を描いた物語ッ!

…って、そんなわけがありませんでした。
とても上品な作品でした。
サスペンス要素を含みながらも、丁寧にコトコトと煮込んだ“感情”が素敵な物語でした。

勿論、僕は最初から分かっていましたけどねっ。
何てったってタイトルが『最愛』ですからねっ。

それに主題歌を聴いてください。
宇多田ヒカルさんの『君に夢中』ですよ。それが毎回、素敵な場面で流れちゃうんですよ。そりゃあ、胸にググっと来るのは必然。ドラマの後半は音楽が流れただけで涙腺が弛んじゃうパブロフの犬。

そして、主演が吉高由里子さん。
彼女は天才です。表情がとても豊かなので、脚本が描きたい感情を“増幅”してくれるんですよね。演出する側からすると、とても助かる存在だと思います。

まあ、そんなわけで。
サスペンスと耳にしたら「猟奇!猟奇!」と拳を振り上げる向きには合わない作品。「犯人は誰か?」という部分は最後まで揺らぎませんが、あくまでもスパイスと割り切った方が吉です。大切なのは『最愛』という言葉の意味を考えること…です。

最後に余談として。
ある場面のロケ地が見知った場所で驚きました。物語的には盛り上がる場面だったんですが…いつもの風景との差異を探していて…ドラマの裏側は知らない方が幸せですね。
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