こたつむり

トリック新作スペシャル3のこたつむりのレビュー・感想・評価

トリック新作スペシャル3(2014年製作のドラマ)
4.0
★ あなたに逢えて良かった なんて言わない
  言えば消えてしまうから
  ただ ひたすらに大切にしたいのは笑顔
  あなたの まん丸い笑顔

長く続いた『TRICK』も本作が最後の一歩手前。その事実だけで、心の中のダムが崩壊寸前。2000年に始まって、最後は2014年。ははぁ。14年間ですか。長いですなあ。

しかも、前作に引き続いてサスペンス臭たっぷり。某横溝正史先生の作品を彷彿させる“お家騒動”は何回観ても飽きません。骨肉相食む争いに喜々としてしまうのは我ながらに醜いと思いますが…ミステリ好きってそんなものです。知的強姦者なのです。

それと、今回の題材は超能力よりもオカルト。
この選択も見事だったと思います。インチキ霊能力者のネタは尽きていますし、何よりも劇場版との差別化が出来ません。特に今回は完結編の一歩手前。地味ながらに手堅いのが良いのです。

そして、犯人のヒントを堂々と提示するフェア精神。勿論、謎解きがメインの作品ではないですけどね。この辺りのバランスが良いから人気シリーズとして続けることが出来たのでしょう。

配役も抜群に良かったですね。
今回のゲストは飯島直子さん、藤田朋子さん、国生さゆりさん…って、何この贅沢な感じ。やはり、最後だからパーッと使おうと。風流せいと。そういうことでしょうか。確かに同時公開の劇場版は外国ロケ。テレビ朝日も太っ腹ですな。

まあ、そんなわけで。
鑑賞の順番に気をつけたい物語。
本作を鑑賞してから完結編、うん。この流れを間違えると“台無し感”が半端ないですからね。14年間の重みを感じさせないテレビスペシャルですが、待ち受けているのは切ない感情。はー。尊いなあ。

最後に余談として。
山田奈緒子=仲間由紀恵さん、という図式は僕の中で未だに健在。これって役者さんとして嬉しい話なのか、哀しい話なのかは分かりませんが、人の心に残る演技をした…という事実だけは変わりません。

それに山田と上田って…なんだか他人事じゃないのです。僕も不器用ですから。彼らの微妙な距離感に甘酸っぱくなっちゃうのです。はー。尊いなあ。
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