アンナチュラルの9の情報・感想・評価

エピソード09
敵の姿
拍手:326回
あらすじ
空き家に置かれたスーツケースの中から若い女性の遺体が発見された。 ミコト(石原さとみ)が遺体を確認すると、中堂(井浦新)の死んだ恋人・夕希子(橋本真実)と同じ“赤い金魚”の印が口内から見つかったーー! “赤い金魚”が口の中に残されていたご遺体は、夕希子を含め過去に3体。 UDIは“赤い金魚”のあるご遺体は、同じ犯人によって殺された可能性が高いと毛利刑事(大倉孝二)に訴えるが、正式な証拠がないと訴えを却下される。 それでもミコトたちは犯人に繋がるヒントを見つけるため、スーツケースの中から見つかった女性を解剖し死因究明を進める。 ミコトは胃の内容物が、強烈な腐敗臭を放っていることに違和感を覚える。果たして女性の死因とは何なのか…? その一方で、神倉(松重豊)は過去に週刊ジャーナルに掲載されたUDI関連の記事を見て、ある疑念を抱く…。 さらに警察庁を訪れた神倉は、驚くべき記事を目にすることに…! そしてミコトと中堂は、とある証拠を発見し事件は急展開を迎える! 中堂の恋人を殺した犯人はいったい誰なのか!?
コメント135件
Shion

Shion

このコメントはネタバレを含みます

最終回は9,10話と連続。“赤い金魚”のあるご遺体が、第8話の火災のあったビルの隣の建物から見つかる。前半となる第9話ではいよいよ事件の犯人の全貌が明らかになり、ミコトと中堂の再三に渡る調査,検査・再解剖と推理により犯人へと辿り着く。全10話のうちもっともミステリー・サスペンス色が強く、演出もそれに合わせて緊張感とスピード感のある作りになっている。 第1話から伏線として進行していた“赤い金魚”の事件が主題となり、今回の不自然死のご遺体はその被害者の一人。スーツケースに詰め込まれた女性のご遺体。最初から事件性有の他殺体として見つかったそのご遺体の死因を究明することで、連続殺人事件の犯人へ至る手がかりを得ようとする。 最終2話のエピソードでは、その連続殺人に“連続性が認められるのか?”が争点となる。これまでの事件の被害者の死因は皆バラバラで、発見された場所も異なり、警察の目線ではそこに連続殺人を立証する証拠が見つけられない。口の中に残る赤い金魚の印すら、中堂の違法捜査で見つけたものが含まれているため、証拠能力に乏しいとされてしまう。 このエピソードでは、これまでの法医学的な死因究明がむしろ仇となる側面が描かれる。死因が判明するほどに、事件に一定の連続性が認められないという、最終回に相応しい逆説の物語が語られるのだ。 この最終話へと至るエピソードの中で、これまで描かれてきたミコトと中堂の関係性、そしてミコト自身の法医学者としての、そして中堂の“相棒”としての矜持が描かれている。 第5話の終わりでミコトが言った「同情なんてしない、絶対に」という言葉の真意も明らかになる。あれは断絶の言葉でもありながら、ミコトが絶対に中堂を止める、中堂に最悪の決断をさせない宣言でもあった。同じ法医学者として……そして、仲間としての情から出た言葉だ。 「同情してたら必要な時に何も言えなくなるし、なにかあったときに止めることもできない」 この台詞は、ミコトが生きていく上で、そして法医学者としても大切にしてきたことなのだろう。これまでのエピソードの中で、「同情されたくない」と言い続けていた彼女にとって「同情しない」ことは何よりも大きな優しさでもあったのだ。 ここまでのエピソードで、UDIラボのメンバーとの関わりの中で徐々にその心情に変化が現れてきていた中堂も、いよいよ目の前に“赤い金魚”が現れたことで歯止めが効かなくなりつつある。東海林に細菌検査を頼む後ろ姿は憔悴しきり、見ていられないほどの執着を感じる。このシーンと、夕希子の遺体に縋り付くように泣き出す井浦新さんの演技は胸を突く。 解剖の担当が自分でなければ、裁判で不利になる可能性があると語るミコトに、中堂は「裁判はどうでも良い」と語る。中堂の未来に、選択肢に、裁判という選択肢は既にない。だからこそ木林に、これから増える可能性がある赤い金魚を、UDIより早く見つけさせようともしている。 前話でのミコトとの、「会いたいですか?」に対する、「会って聞く。お前を殺したクソ野郎は誰なんだ。……身体を切って開いてもわからなかった」は3話の裁判での発言と呼応する。中堂は既に、犯人を見つけることが目的になってしまっているのだ。一方のミコトは、「会ったら聞きましょう。ピンクのカバ」と中堂を見つめる。ミコトは被害者である夕希子に目を向けている。これはこの物語の根幹であり、前話で示した法医学者のあるべき姿に、中堂が立ち返るまでのエピソードなのだ。 夕希子と中堂の過去は、ようやくこのエピソードで語られる。これまで、数話に渡って遺体の姿でしか登場してこなかった夕希子の生前の姿が、ここでようやく中堂の回想として語られる。このエピソードでは主題歌の「lemon」がこのタイミングで流れ、まさにこの曲は中堂系のテーマソングであったことがわかる。異論は認めない。「lemon」は中堂の曲です、米津玄師 feat.中堂系でお願いします(真顔)。 この回想の中堂は、現在での数々のシークエンスと同じように「クソ」とも言い、ミコトの言う通り“そういう過去がなかったとしても傍若無人なオラオラ男”ではあるのだが、どこか今よりも優しい顔をしている。この表情は、第5話でミコトにコーヒーを出したときや、二日酔いの東海林を気遣ったときの表情だ。中堂は本来、こういう顔をする男だったのだ。 「生きてるうちに、幸せになれないもんか」 誰よりも死に近い場所にいた男が、こんな風に話していた過去があった。生活感のない部屋に住み、葬儀場の遺体の口の中を違法に検分して回る男にも、こんな言葉に希望を抱いていた過去が確かにあったのだ。 「寂しい人生でも、最後くらい花になったって良いじゃない。あったかくて良い匂いがする場所で、綺麗な花になれたら幸せじゃない?」と、そんな優しい絵本を描いた夕希子がスクラップ置き場で、ニコチンの過剰摂取という死因の他殺体で見つかる残酷。それを切り開いて、そんな死因を法医学者として判定した中堂。ここまでのエピソードの積み重ねで、“死の平等性”を散々描いてきたあとで、生前の姿をしっかりと描き、その関係者(中堂)を描いた上で、そのご遺体の解剖をハッキリと映し出す。野木脚本、ここに極まれり、である。 また、その絵本について話す夕希子との会話の中で、理詰めの中堂に夕希子が言う「理屈じゃない」が意味を違えて中堂に継承されてしまっているのがあまりにも皮肉で、観ていて苦しくなる。 過去には学者的な理屈を否定された中堂が、現在は学者としての法や理屈を超えた決断をしようとしている。“理屈を超える”という言葉尻だけを捉えれば同じだが、幸せな夢をみることと、法を超えた私刑をすることには大きな違いがある。こうした言葉遊びに、これまでもエピソードタイトルにダブル・トリプルミーニングを込めてきた野木脚本のセンスが光っている。 今作は徹頭徹尾、“被害者の目線”で物語が語られる。それは最終話であるこの第9,10話でも変わらない。夕希子はこれまで、小出しにずっとその姿が描かれ、今回はその過去もしっかりと描かれた。一方犯人である高瀬は、第8話で被害者の一人として登場するものの、ドラマ全体の総登場時間で言えばそこまで長くはない。演じている役者が尾上寛之さんというのもポイントで、尾上さんは所謂“スター俳優”ではない。ドラマの世界で言っても、エピソード回でのゲスト出演枠が多いバイプレイヤーだ。続編である『MIU404』が加害者側の物語であり、最終回のヴィラン役に菅田将暉さんというスター俳優をキャスティングして序盤から出演させていたのとは、かなり対照的で、恐らくこれは意図的なキャスティングと演出だろう。木林に「どんな顔をしているんでしょうね、犯人」という台詞を言わせたのも皮肉的だ。 高瀬の過去や動機は描かれないが、高瀬の殺人が殺害法:A〜Zを揃えたいがためという異常な衝動に突き動かされていたことはハッキリと描かれる。これについても、その理由や目的意識はUDI側の視点では描かれず、あくまで死因究明の中でそれは語られる。その犯人のこだわりに注目しているのは劇中では宍戸だけなのだ。 この殺害方法が、しかし結果として法医学の世界においては混乱を生んでしまうのが皮肉でもある。連続殺人としての立件も、殺意の証明も、あまりにも違う犯行の手口であるが故に困難になる。犯人の狂ったこだわりに、法医学が敗北するのを最終話直前の第9話では描いているのだ。だからこそ、最終話の展開も効いてくる。 また同時に、犯人である高瀬本人よりも、それを利用していた宍戸の方が物語上大きなウェイトを占めているのも脚本の描き方としては巧みで、宍戸が高瀬に被害女性を斡旋していた様子や、その一人が自分がフラれた相手であるような事も語られる。こうした宍戸の姿は第3話の裁判でミコトを記事にしていたときから変わらず、男の矮小な嫌らしさや、歪んだ男尊女卑の思想が見え隠れしており、女性作家である野木亜紀子氏から見た悪い意味でリアルな男性像が透けて見えて、同じ男性としては身につまされる。 実は最も自己顕示欲に塗れていたのは宍戸であり、末次にも、書いた記事を「ポエム」と揶揄されてもいる。A〜Zの図表の前で微笑む高瀬の写真を撮る姿など、本気で吐き気を催す邪悪なシーンだ。 エピソード監督はサブ演出の竹村謙太郎氏。今回は今までにないほどミステリードラマ・サスペンスドラマ的演出で、ラストの六郎が持ち込んだピンクのカバのイラストからの、中堂と宍戸の電話、毛利と向島がミコトと神倉に高瀬のことを話すシーンが交差し、犯人解明行き着くシークエンスは、緊張感があってゾクゾクさせられる。 そこからの、中堂の全力疾走と慟哭、血塗れで笑顔で出頭する高瀬なども含め、これまでの『アンナチュラル』にはなかった映像の作り方だ。このあたりはメイン演出の塚原監督でないことも影響しているかも知れないが、個人的には「lemon」の流れるタイミングの違いも含め、最終話一つ前にこういった特異点があるのも面白かったように思う。 2話連続の最終話ということで流石に全体的な空気も重く、東海林の元気も空回り気味。 「東海林がいつも通りでいてくれたら、この重い空気もガスのように軽くなる」とミコトが言っても、からかい要員の六郎が不在がちでどうにもUDIの空気は暗くなりがちだ。 そんな中でも「殴ってでも止めるよ、六郎が」という台詞が『アンナチュラル』らしい軽さを出す。ちなみにこれはシナリオブックの脚本では「うん、ぶん殴る。私か、六郎が」というミコトの決意含みの台詞。ここが変わったのはアドリブか演出かはわからないが、これがないと重くなりすぎるので良い改変だと思う。 六郎のこれまでのスパイ行為が原因で警察庁との連携がうまく取れなかったり、宍戸との関係を言い出せないばかりにA〜Zの殺害方法についてハッキリと言及できない六郎の姿にも胃がキリキリとさせられ、六郎の物語にも暗雲が立ち込めてきている。 最終話に向けて、嫌な後味を残すエピソードだ。
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たけ

たけ

幸せにしてくれる?逆プロポーズ
だだ

だだ

はらたつわー
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餓狼

餓狼

「幸せにしてくれる?逆プロポーズ。」 グイグイなユキコ、泣ける
結局カレー

結局カレー

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「寂しい人生でも最後くらい花になったらいいじゃない?」 「あったかくて、いい匂いがする場所で、きれいな花になれたら幸せだと思わない?」 「生きているうちに幸せになれないもんか。」 「幸せにしてくれる?逆プロポーズ。」 「私たちは法医学者です。法で落とし前をつける。」
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ダイフクチャン

ダイフクチャン

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宍戸と高瀬が圧倒的に素晴らしくイカれていたおかげで今作はここまで面白くなったんだと思う。
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にゃんにゃん

にゃんにゃん

いつ、何回見ても、伏線がきれいに回収されて鳥肌立つ
えり

えり

鑑賞日:2025年9月21日
おでこ

おでこ

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恋人が変わり果てた姿で自分の前に現れたあの一瞬で、自分の役割を理解して絶対に証拠を掴む覚悟をしたのかと思うと、本当に本当にやりきれない… これ見てから絶対に不動産の内見は1人では行かない、女性だけで行かせない。友人にも家族にも徹底して伝えています。
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しめさば

しめさば

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アルファベットと殺害方法 高瀬怖すぎる
からしめんたいこ

からしめんたいこ

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前回の火災現場でスーツケースに入った遺体を発見 チキン南蛮 逆プロポーズ泣ける 蟻5匹 持つべきものは昆虫博士の父親だね クロナガアリ蟻酸を出さない 高瀬
りゅか

りゅか

火災現場の隣で遺体発見 中堂と彼女の回想は泣ける。 犯人と目星付けてて放置…そんなにネタがほしいのか。
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マホガニー

マホガニー

最終回前編
m0im0i

m0im0i

たぶんもう20回は観てるけど未だに泣いてます
y

y

第9話 敵の姿 火事のあった雑居ビルの隣家から、若い女性の遺体が見つかった。現場に向かったミコト(石原さとみ)と六郎(窪田正孝)、東海林(市川実日子)は、その遺体の口の中に赤い金魚にみえるアザを発見。8年前に殺された中堂(井浦新)の恋人・糀谷夕希子(橋本真実)にも同様のアザがあり、犯人へつながる証拠でもあった。UDIラボの面々は、どのようにして遺体の口の中に赤い金魚のアザができたのかを警察に伝えるが、毛利(大倉孝二)は過去の3件の事件とは関連性がないと主張。連続殺人事件の可能性も否定し、赤い金魚は正式な証拠にはならないという。そんな中、週刊ジャーナルの記事に不審な点を発見した神倉(松重豊)は、UDIラボの内部に編集部とつながっている人物がいるかもしれないとミコトと中堂に伝え、注意を促す。
鰐

TVerではこの回で終わった( ; ; )
ririri

ririri

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高瀬こえ〜 宍戸うぜ〜
RINKA

RINKA

このコメントはネタバレを含みます

高瀬ェェェエエエエエエ!!!!(ʘ言ʘ╬) 宍戸ォォォオオオオオオ!!!!(ʘ言ʘ╬) 中堂さーーーーーーーん!!!!( ߹ᯅ߹)
hikarinokomama

hikarinokomama

とうとう犯人がー!?
サンライズ

サンライズ

死にとらわれないようにしたい。
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みょうが

みょうが

このコメントはネタバレを含みます

ほんとにダメだけど宍戸の鼻歌が中堂さんの鼻歌かと思ってバグった 高瀬えぐーPSYCHO‼️
あお

あお

最終章への序章
みの屋

みの屋

このコメントはネタバレを含みます

不動産屋の高瀬
おりょー

おりょー

この一話だけでも映画作れそう😭
しあ

しあ

乃木亜紀子真骨頂
あ

このコメントはネタバレを含みます

まさかの犯人… 高瀬と宍戸さんの関係性が気になる
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すぎもん

すぎもん

このコメントはネタバレを含みます

あの人が命懸けで助けたのがよりにもよってコイツなのかよ…悲しすぎるだろ…
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はる

はる

トリックが秀逸すぎる。 脚本家さん頭良すぎじゃない???
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fieldvillage

fieldvillage

このコメントはネタバレを含みます

めちゃめちゃサイコパスっぽいのが出てきた! この記者はどの位置なんだろ?
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ごろり

ごろり

このコメントはネタバレを含みます

ついに動き出した〝赤い金魚〟 中堂さんの過去編で幸せそうにしてる2人からの恋人を解剖して声を押し殺しながら泣く中堂さんでボロ泣き( ;ᯅ; ) 「Lemon」のタイミング鬼畜すぎだろ😡 「生きてるうちに幸せになれないもんか」 「幸せにしてくれる?逆プロポーズ😁」
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