ロアー

デスのロアーのレビュー・感想・評価

デス(2020年製作のドラマ)
3.8
...どうしようこれ。ドラマを観る前に、もう見た目からしてヤバい。全然いつものデヴィテナじゃないし、下手すると写真で見たデニス・ニルセン本人より死んだ目をしてるんだけど、そんなことってあり得るの?私、まだ全然デヴィテナのすごさを分かってなかった。

デニスの犯行や生い立ちを見ると色々ヤバいとしか言いようがない。一般的なシリアルキラーのような快楽が目的の殺人ではなく、殺したくて殺した訳じゃないというのが逆に恐ろしい。

事件発覚からドラマが始まり、逮捕時も取り調べ中も何の感情もなく無表情で淡々と落ち着いて供述する姿がとにかく不気味。
「被害者のために真実を明らかにすることが大事なんだ」と言って自分の供述を邪魔する弁護士に怒ったり、自分がどうしてこうなったのかを生い立ちから自身で分析してみせたり、すべてがまるで他人事のようで、完全にどこか壊れた本当の異常者ってこういう人間を言うんだろうな。

ただ、このドラマは事件そのものの話ではなく、デニスが正気なのか異常なのか、彼は何なのかというストーリー。全てが計算尽くなのか?と思ってしまう頭の良さや言動は異常なほど正常とも言えるし、恐ろしく正気のまま異常なことを行っていただけとも思えるし、とにかく掴みどころのない漠然とした恐ろしさを感じた。裁判の判決が出ても全くすっきりしない。結局のところ、何人殺されたかも定かじゃないみたいだし。

警察の捜査と並行して、このドラマの元になっている伝記を書いた作家・ブライアンとデニスのやり取りで話が進行して行くんだけど、ブライアンが言った「確たる理由もなく大量殺人が起きた場合、我々はこれを理解すべき」という言葉が何だか印象的だった。

ところで警察よ!!!家から最高で20人分になるかも知れない大量の人骨が発見されたにも関わらず、起訴を急いで身元の判明した6人程度の殺人罪だけで立件して、残りの犠牲者の身元が判明したとしても罪の追加はできないって、、、、そんなことってあるの!!!???そこにかなりびっくりしちゃった。全てがやるせない。
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