カツマ

アダム&アダムのカツマのレビュー・感想・評価

アダム&アダム(2022年製作の映画)
3.8
時空の旅は諸刃の剣、人智を超えた発明が未来の歯車を狂わせる。それでも宇宙を越え、時間を越え、そして、運命をも越えて、その果てなき旅は愛する人への想いを届けた。相方は幼い頃の自分自身?二人の力を合わせれば、きっとどんなアドベンチャーも乗り越えられる。それは冒険、一人と一人の明日に向けた、大切な時間そのものだった。

Netflix製作、『フリー・ガイ』のショーン・レヴィ監督とライアン・レイノルズが再びタッグを組んだ、タイムトラベル型アドベンチャームービーである。オタク要素満載のSF映画となっており、王道のエンターテイメントを迷わず直進するような作風はシンプルに楽しい。その割にコンパクトな作りになっていて、キャスト、ストーリー共に分かりやすいミニマルな雰囲気は配信で観るにも適していると思う。いつものライアン節も炸裂。多くの人を楽しませてくれるであろう、ど定番のワクワクがきっとあなたを待っている。

〜あらすじ〜

2050年、宇宙を走る一閃の戦闘機。その機内に乗っている操縦士アダムは何とか追っ手を巻いてタイムリープに成功。だが、辿り着いた先は2022年。行きたかった過去とは別の時代に彼は降り立ち、そこでまだ12歳の自分に出会う。
一方、2022年を生きる少年アダムは、父を交通事故で亡くした痛みを乗り越えられず、母ともギクシャクする毎日を送っていた。母のことは大好きなはずなのに、アダムは素直になれず、母が友人からデートに誘われたりすることにも皮肉を言ってしまう始末であった。
そんな少年アダムの前に、タイムリープしてきた中年アダムが現れる。中年アダムは妻を探してタイムリープを試みたものの、大怪我をしたことで、宇宙船に乗ることができずにいて・・。

〜見どころと感想〜

タイムリープと親子愛、夫婦愛を軸に、時をかける中年と現代の少年アダムが自身の心の傷を癒していくかのような物語である。ストーリーは単純明快で、感動のパターンも非常に王道。なのだけれど、そうと分かっていても感動してしまうのは、やはり本当ならば戻らないはずの時間が奇跡のように眩しくて、親子の絆の強さが緩みやすい自分の涙腺メーターを揺さぶってくれた。

主演のライアン・レイノルズはいつも通りのコミカルな役柄。ショーン・レヴィは完全にライアンの強みを熟知しており、『フリー・ガイ』と同様に彼の長所を大いに伸ばしている。共演にはマーク・ラファロ、ゾーイ・サルダナなど、MCU勢も多く、そこにジェニファー・ガーナーやキャサリン・キーナーといったベテラン俳優たちを追加したキャスティングは何気に隙がない。少年アダムを演じたウォーカー・スコベルは顔が整っているのに柔和な雰囲気を漂わせていて、出演作品に恵まれればトム・ホランドのような大器へと成長できる可能性もあるだろう。

終盤のバトルにはツッコミどころも多々あるが、そこには敢えて問うまい(笑)敵キャラがもう少し強ければもっと面白くなったかな、という予感はあれど、今作の主軸はあくまで親子愛。そのため、演技力の高いマーク・ラファロの存在感がクライマックスに活きてくる展開は見事だった。
例え、時を遡っても変わらないもの、変えられないものがある。それでもやはりそこには変えられるものもあって、それはきっと冒険のような人生そのもの。でも変えられるものを探すには、たまには時間旅行も悪くはない、かな?

〜あとがき〜

『フリー・ガイ』コンビの最新作ということでエンタメ感抜群!非常にどストレートに楽しめる作品となっています。タイムリープと親子愛というコラボは泣きの要素も完備。ラストは泣かせに来てる感満載でしたが、普通に泣きました(笑)

あとやっぱりこの監督はライアン・レイノルズの強みを完全に分かってますよね。恐らくアドリブっぽい小ネタもチラホラ。彼が主演だと陽性のオーラが強くなるので、考え事をしてる時やホッと一息付きたい時にもオススメの一本かと思いました。
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