kuro

メタモルフォーゼの縁側のkuroのネタバレレビュー・内容・結末

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

あらすじではBL愛とか書かれているが,メインテーマは「新しいことに踏み出す」ことであって,うららは同人誌制作にとりかかるし,雪は住み慣れた家から娘との同居に踏み出す。劇的な展開というのはないが,じんわりと新しいことへの踏み出しが描かれている。
幼なじみや留学する同級生,うららの母親が彼女の生き方の障害となるわけでも背中を押すわけでもないという脇役に徹しているところや,雪がうららを助けるわけでも導くわけでもなく,あくまでうららの自意識との向き合い方でつくられている。
新しいことに踏み出すなんて,正気ではできないし,小市民は「せめての精神」でやっていくしかないところは響いた。
原作は5巻あって,映画ではつまみ食い的にエピソードとして扱われている箇所が唐突感がある(台所の戸棚の蝶番や勝手口の置き鍵)し,雪と娘との関係やうららと父親との関係が削られて,うららと雪に焦点を絞り込みすぎている。原作としてはひとを取り巻く人間関係とそこで生まれる出来事で人生は紡がれていくということだと思うのだが,映画では年の離れたシスターフッドのような印象の予告編だった。TVドラマとしてじっくりとエピソードを積み重ねたほうが原作の味がでたと思う。
芦田愛菜と宮本信子の女優としての輝きが原作キャラとのギャップが大きく,そういう点で幼なじみにイケメンな高橋恭平をあてたところはなかなかのバランスだった。
kuro

kuro