タキ

ヘルドッグスのタキのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
3.7
指詰め上等のオールドファッションヤクザ、イタリア大好きのオペラヤクザ、美形のインテリヤクザ、二代目のアホボンヤクザその他諸々なぜかリーゼント姐さんまで出てきてさしずめヤクザファミリー博覧会。バリエーション豊かな顔ぶれでなかなか面白い。師範(岡田氏)はどう見ても傭兵だし(ミリタリーオタク感がスゴイ)日本の俳優でこれ以上のアクションができる人間はまずいないと思う。振り付けが映えるアクションもひとつ見どころになっている。
しかし潜入捜査ものに期待するヒリヒリ感はかなり薄め。おなじく潜入捜査中のマトリを兼高が殺したエピソードをなぜ映像にしないのか。交番勤務中の元同僚が夜の街に佇む兼高を見て大声で本名で声かけしたのを三神の舎弟が見ていて身バレしそうになり…というエピソードも11年前の同僚警官をあの夜目遠目でよく認識できたと思うし勤務中の警官が知り合い見つけたからってあんな声の掛け方をするだろうか。そもそも兼高が潜入捜査官になる動機付けが弱い。復讐を遂げて出頭しようとした人間がなぜ警察に協力しようと思うのか。まだ復讐が終わってないぐらいの動機がほしい。被害者家族に送金するお金のためだったらヤクザで充分かせげるし遠からずミイラ取りがミイラになると阿内は思わないのか。
恵美裏(ヤクザの娘で元獣医師、アフリカの保護区で働いた経歴あり)が象牙ビジネス撲滅のためにヤクザの女になるというのもなかなか突拍子もないし、マッサージ師の典子先生は完全に必殺仕事人でちょっと笑った。宗教二世や犯罪被害者の会はもうちょっと掘り下げてもよかったかなと思う。
兼高と室岡の関係性の描き方が凡庸だったのが最も残念な点だった。俺(室岡)と恵美裏とどっちが大事かというセリフがグッとくるぐらいの濃密な関係性が感じられない。ここをちゃんと描ければスマッシュヒット間違いなしだったのに勿体ない…。
原田監督の映画はいつもセリフが早口で滑舌が怪しい人も多く聞き取りが難しい印象。ストレスになるので今回も字幕つきで見た。
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