クリンクル

VORTEX ヴォルテックスのクリンクルのレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
2.5
手段と目的が混同してる…?

スプリット・スクリーン、画面分割がそもそも苦手、デパルマは好きだけどそのシーンはどうしても好きになれない
それでも手法としては同時に起きたことを見せるという点で『ジャッキー・ブラウン』なんかは非常に上手くいってるしシーンとして面白い、シーンとしては。

映画がほぼ全編その手法を凝らして作られるというのは罪深いのか、それを目的にして作られてしまっているように見えてしまう
この映画はそれが顕著で、同時に見せることを目的としている筈のショットがなんとほぼ重なってしまっている
しかもそれを何度もやってくるので確信犯(多分誤用じゃなく正しい意味で)だと思われる
そこにアルジェントの手が角度の違いから伸びて見えてくるのは奇妙で面白いが、コラージュを初めて使った小学生的な面白さでしかない
監督作で自らの手で殺人シーンを行うアルジェントへの愛からそうしたのか知らないが意味を感じない
スプリット・スクリーンは必然的に一枚の画としての映画の力を半減させ、カットの重要性も損なってしまうと思うが、それを捨て去ってまでこの手法にこだわった意味がわからない
この映画で1番魅力的なショットは冒頭に全て用意されているといっても過言じゃないだろう

テーマ的に貶すのは憚れるし、テキストだけ取り出したら良い話に思えるが、心臓の死と脳の死を同時に描くというアイデアだけで画面を分けたのは愚行だと言わざるを得ない