クリンクル

哀れなるものたちのクリンクルのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
原作で文章による仕掛けがある以上は映画用に脚色しなくてはならないけども、原作のフェミニズム部分を抜き出して物語を広げたのは正解だと思う

しかし、それによって抜け落ちてしまったものも多分にある
映像的にはどれも奇抜で普通のシーンはひとつもないぐらいだけれど作品全体を通すと結構普通の映画になっちゃってる?

原作の構造が使えなくなってしまった事は仕方ないにしても、ゴッドの歪みに歪んだ外見と内面、エジプト(映画は違う国?)でベラに世界の構造を見せつける場面、アングロサクソンの優位性を語るところなど原作では強烈な部分が悉くスポイルされてしまっていて映画で衝撃的なのはセックスシーンぐらい?

原作では登場人物全員が相手よりも優位に立ちたいという欲望を抱えていて作者は非常に意地が悪いが、映画ではわかりやすくダンカンと将軍が悪役になってしまっていることでベラ側のキャラクターがこの構造からある程度守られてしまっているのも普通の映画のように見えてしまう要因なのかも