クリンクル

ジョン・ウィック:コンセクエンスのクリンクルのレビュー・感想・評価

4.8
正直、ジョンウィックシリーズもキアヌもチャドスタエルスキ監督も嘗めてたところがあったんですがごめんなさい。

超超超面白かったです…


1作目で普段運動してなさそうなロシアンマフィアボスにすら苦戦しててあんまり強くないだとか、2作目ラストで周り全員殺し屋みたいになってたけど次の作品であんまり襲ってこないで拍子抜けだとか、3作目はガンアクションが続きすぎて脳が麻痺して何も感じなくなってくるなんて思っていたけれど全部撤回させてください

「嘗めてた相手が殺人マシーンでした」「人を殺して捨てゼリフ」のある種量産されたハリウッド映画を観るような気持ちで本シリーズを観ていたのは間違いで『殺し屋はつらいよ 冥府魔導篇』として観なければいけませんでした

キアヌが辛そうで辛そうで爽快感がないシリーズ!なんて思っていたけどそれは間違いじゃなかったんです
本作はキアヌどころかドニーイェンも、真田広之も、リナサワヤマも、それらを支配している侯爵でさえもみーんな辛そうです
常識的に考えれば(常識ない世界観ですが…)それはそうで、進んで人を殺した人間が幸せでいられる筈はなく、「人を殺して捨てゼリフ」とは対局に死というものに対して誠実に向き合った映画がジョンウィックシリーズだったんです
ジョンが毎回苦戦しボロボロになるのもその殺人という罪を罰せられてるようにも見えて、彼が「バーバヤーガ」として恐れられているのもそんな状態からでも殺しをやり遂げる狂戦士的な精神からきているのだと、2時間40分のキアヌ虐待劇を見て確信しました

かなり逸れますが、三浦建太郎が亡くなってから一冊目の新刊が発売される『ベルセルク』が今後どうなっていくのか、人生ベリーハードモードで昼夜問わず敵から襲われるガッツと本作のキアヌが自分には重なって見えたこともあり、人を大量に殺したガッツにも今後平穏が訪れることはないんだろうと思いを馳せてしまいました。