クリンクル

青春ジャック止められるか、俺たちを2のクリンクルのレビュー・感想・評価

4.9
いつぶりだろうか
久々に心の底から面白いと思える日本映画に出会った

若松孝二、もちろん知ってる
足立正生、荒井晴彦、森達也も知ってる
しかし井上淳一、誰だ?

監督が交代した続編が碌なことにはならないのは経験則からわかっていたし、本作は名古屋市の映画館シネマスコーレが舞台であるのは知っていたので、いわゆる地方おこし映画的な類のものがどんな映画かもわかっていた

それでも公開初日に観に行ったのは、若松孝二作品を劇場で観る初めてで最後の経験をした映画館シネマジャック&ベティで上映されるからという映画ファンとしての矜持と、「生の井浦新&東出昌大見てえ〜あわよくばサイン貰いてえ〜」というパンピー精神からだったのだが、この判断をした自分を褒めてやりたい

前作は正直ハマらなかったので恐らくは配信されてもスルーしていたが、本当に観に来て良かった
長らくは日本映画からは感じられなかった・いやさ日本映画からしか発せられないエネルギーを持った傑作だった

いわゆる地方おこし映画、その側面もある。(事実自分はシネマスコーレ聖地巡礼行きたくなったし)
その讃歌の部分に主要登場人物4人の群像劇も絡まり昇華していく様があまりに見事で、スコーレだけでなく全てのミニシアターへの愛とも取れる東出昌大のアノ台詞、演技には落涙してしまった
もちろんミニシアターの現状、いや・厳しくなかった時代はない!という現実も描かれており全てを肯定した映画では決してないのだが、不思議と爽やかさだけが残った

スコセッシの「最もパーソナルなことが最もクリエイティブ」作中で引用される新藤兼人の言葉、全共闘も終わり恵まれた環境でなに不自由なく過ごした人間が若松孝二のエネルギーで映画が作れるのか?その答えを井上監督はだしたのだと思います