MARVELやエブエブですっかりお馴染みになったマルチバース。
いやいや、我が国の誇る仮面ライダーやプリキュアでも昔からマルチバースは当たり前のように取り入れられていたし、それより以前に本作とおなじ長谷川圭一はウルトラマンで「超時空の大決戦｣というマルチバース映画を書いている。
意外と知られていないけれど、東映の戦隊やライダーのネタはほぼすべて円谷が先行して作品に取り入れている。
実写のグリッドマンの世界観を借りつつオリジナルアニメとして高品質なTVシリーズを2本続け、それを劇場版でリンクさせるという胸熱な展開は、もともとファンサービスの意味合いの強いマルチバースの有効活用例としてこれからも主流になっていくだろう。
てな考察はどうでもよくて笑、もうね、裕太と蓬、六花と夢芽が同一画面上で話してるだけで楽しいし嬉しいし、なによりワクワクが止まらない。
それは過去2作のTVシリーズにおけるキャラの書き込みが秀逸で、ロボットアニメの枠に収まらない青春群像劇としていかに完成されていたかを証明して見せたようなもの。
過去2作のファンには最高のプレゼントであると同時に、初見の方にとっても、何だかこいつら気になる連中だなと思うはずで、鑑賞後にTVシリーズを見ても満足できることは間違いないだろう。
さてマルチバースで楽しみなのは、異なる世界のキャラクターが邂逅したときに起こる、そうそう、そう来るよね！だとか、おお、そう来たか！という化学反応に他ならない。
劇場版アニメの定番シチュエーションかつ典型的メタバースとも言うべき「学園祭｣がテーマなのも、どこか懐かしく同窓会気分を味わうにも最高の舞台だ。
内容的には、両作ががっぷり四つという訳にはいかず、TVでも懸案事項となっていたグリッドマンでの2人の行く末をメインに据えたため、ガウマや怪獣優生思想の面々などダイナゼノンサイドは描き足りない部分が多くなってしまっている。
尺としてはやむを得ないところだけれど、二つの世界が融合して共闘する胸アツシーンという点では満点ながら、それぞれの描いてきた物語をリンクさせて、ストーリーとしても感動するというところまでは至らなかったのはどうしても物足りなく感じてしまう。
オーイシマサヨシによるそれぞれのオープニングがメドレーで炸裂し、原作となる特撮版で登場したキンググリッドマンを踏襲するローグカイゼルグリッドマンへの合体など、劇場の大画面で満喫できただけでも大満足というのに、さらにはファンムービーとして完璧とまで言ってるにもかかわらず、それでもまだあえて無いものねだりをする、それがファンというものなのだ。
