へたれ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのへたれのレビュー・感想・評価

3.0
良かったとこ 編集と照明
CGIに頼らずにマルチバースを描くために、マッチカットで多元宇宙を切り替えていく編集が良かった。スタジオロゴの段階からマッチカットを使っていて、これがこの映画の象徴になっている。
蛍光灯を点滅させるだけで多元宇宙を表現させるのも、低予算を逆手に取って効果的だった。

ダメだったとこ1 マルチバース設定が途中からブレる
最初のうちはマルチバース=可能世界としてストーリーを展開させようとしていたけれど、途中からどの世界でも同じ話をするようになる。それはこの映画のストーリーとしては必然性があるものの、映画としてはちょっと致命的。「ありえたかも知れない人生の交錯」だったはずのマルチバースが、途中から現実のエブリンの心象風景のバリエーションを様々なコスプレでザッピングするような表現になってしまい、そこからストーリーが一気に停滞した。「スイス・アーミー•マン」の時もそうだったけど、この監督たちは、三幕目でストーリーを畳み掛けていく前に息切れしてしまうのが難点。

ダメだったとこ2 身体的なリズムが欠けたアクション
ミシェル・ヨーにカンフーのポーズをさせるのは美しいものの、一つ一つのアクションシーンが細切れでテンポも良くない。
バレエのようなアクションを見せることに集中してしまっていて、動きとしての楽しさを欠いている。
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