へたれ

ボーはおそれているのへたれのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
2.7
良かったとこ1 第一幕の仕込まれている感
主人公が序盤から悪夢的な罠にはめられていく展開は、これまでのアリ・アスター作品と同じ。今作は主人公のボーが住んでいる街自体が罠になっていて、ボーが起きて欲しくないと思うことが立て続けに起きる序盤が、ドタバタコメディのようで面白かった。

良かったとこ2 ホアキン・フェニックスの子供演技
ホアキン・フェニックスの弱さを見せる演技が、赤ん坊からそのまま大人になってしまったようなボーというキャラクターの表現に合っていた。
さらに、ボーの神経症的な症状の演技は、この映画の世界が狂って見える原因がボーの視点から見た世界だからというように観客をミスリードする役割も担っていた。

ダメだったとこ1 リアリティラインがデタラメ
この映画を一言で言えばアリ・アスター版「トゥルーマン・ショー」だけど、その割にはリアリティラインが終始不明確。終盤の父親の正体の展開などを見てしまうと、どこまでがこの映画の中の現実として許しているのか支離滅裂さがうかがえた。
その結果、ブラックコメディとしても笑えないし、SFや監視スリラーものとしては穴が多すぎてしまうしで、アリ・アスターのファン以外には訴求ポイントがない中途半端な映画になっている。

ダメだったとこ2 第二幕の展開が冗長
オデッセイ的な旅の始まりまでたっぷり1時間かけたあと2箇所旅をするけれど、ここの展開が表面的な表現が違うだけでやっていることは冗長。
気絶から目を覚ます→優しそうな人たちに保護される→その集団の文化に慣れる→不穏なイベントが発生する→その場から逃げる
という展開をそれぞれほぼ30分程度ずつ使って繰り返すので、ここで映画全体のテンポが相当削がれている。
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