yukihiro084

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.3
めちゃくちゃ面白かったです。
めちゃくちゃ感動しました。
僕、家族の話に弱いんですよ。

息子が『友達と尊敬する人の話に
なったんだよ。』と僕に言う。
『誰よ?』と僕が聞くと、
『〇〇君』と息子が大好きな
クラスメイトの名前を言う。

独創的過ぎて、理解するのを早々諦める。
思いっきり呑み込まれてみようと、
ちょっとニコニコしながら切り替える。
まるでクリーニング店のぐるぐる回る
洗濯機のように。そのサンダルみたく。

何か大きな渦のようなうねりや、強烈な
濁流のようなイメージが、遥か先の一点
に向かって突き進んでゆくような予感を
感じさせながら物語は進んでゆく。

ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァン。
2人の全身全霊の演技に目を見張る。
2人の、俳優としてこれまで歩いてきた
道を重ねて見てしまう。ミシェル・ヨー、
大熱演。ボロボロになったおばさんに
しか見えなかった。
キー・ホイ・クァンの影のある
声色と横顔と寂しさ。良き。
夫婦。誰かが言った。沖縄の植物と
北海道の植物を同じ鉢植えに植えて、
同じ量の水を与えたら、どちらか枯れ
てしまうことがあるんだよと。
当たり前じゃないかと。

破壊力抜群の圧倒的なジェイミー・
リー・カーティスが素晴らしい。
ステファニー・スーも良かった。

まさか、岩に泣かされそうになるとは
思わなかった。あんなの、(キャスト・
アウェイ)のウィルソン以来だ。

妻と初めて会ったのは飲み会だった。
その飲み会に行くのが面倒くさかった。
遅刻して行った。別に僕が行かなくても
問題ない飲み会だった。遅れているのに
本屋にも寄った。僕は一次会の店から
二次会の店に移動中に、デートを申し
こんでいた。たいして話してないのに。
デートを申し込んだ。そんなこと今まで
したことなかったのに。あっ少し話した。
手に持っていた(買ったばかり)の本の
中身を聞かれて答えたんだ。別に行かなく
てもいい飲み会だった。なんで僕は本屋
に寄ったんだろう。たいして話してない
のに、なんで、デートに誘ったんだろう。
なんでそれをOKしてくれたんだろう。

こう言う作品を見ると、(あの日)、
分岐点はたくさんあったなぁと。
生きるって、選ぶことの繰り返しだ。

右に行っても、左に行っても、
ファイティングポーズで構えて、
戦うことには変わりはない。
後悔と決意は違うようで似ている。

『本当はお父さんって言いたかった
んだけど、ほら、自慢になっちゃう
から。』と息子は言う。

今日は僕の誕生日だった。
いろいろあった。右に行っては倒され、
左に行っても倒されて、もう起き上がれ
ないんじゃないかって思ったりした。
こんな真っ直ぐな家族愛や夫婦愛を
見せられたら、顔をあげて生きて
いこうって、勇気出ちゃうじゃんか。
yukihiro084

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