諸星だりあ

すずめの戸締まりの諸星だりあのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

初日午前中ながら上映6回目の回を鑑賞。
平日とは思えない入りに感嘆した。

先に小説版を読んでいたので、映像での見せ方を確認する感覚で観ていた。結果的には想像を超えるような場面はなく、芹澤の車のくだりは小説の方が面白かった程。
だがすずめが草太に抱く恋愛感情は、映像で見る方が腑に落ちる部分があった。これは表情と声の力だな、と思う。
もう周知の事実だが、今作は東日本大震災を元にしており直接的な描写もある。それにより顕著になったのが「大切な人との別離」というテーマ。
前二作でアニメ映画ならではの救いを描いた新海監督が、今回はアニメ映画ならではの、「過去との決別」を描きあの出来事から離れようとしているのが見てとれた。

個人的には病室でのすずめの一言に様々な思いが凝縮されてると思う。だがその前まですずめの背景があまり見えていないので、彼女がこの件に巻き込まれる理由がなく、やや感情移入度が低かったように感じる。ミミズを封じるのがただ戸締まりではなく、すずめにしか出来ない何かがあれば良いのにな、という感想。

しかし環さんとの関係性はとても良い。
震災を描いた作品の家族描写としてはトップレベルにリアルで、色めかしい。
最終的に、誰も不幸にならない締め方で後味の良い物語だった。

「君の名は。」的な田舎少女と都会青年の恋模様。
「天気の子」と同じく大丈夫だから、と訴えてくるメッセージ。
それらが合わさった三部作完結編の趣きがあった、快作だと思う。
それゆえ、この映画ならではのものが見えなかったのは残念ではあるけども。

ダイジン、やっぱり可愛いヤツだった。
諸星だりあ

諸星だりあ