諸星だりあ

仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦の諸星だりあのレビュー・感想・評価

3.7
恒例の冬映画。

毎年何かしら「ウリ」を入れてくる元・ジェネレーションズ枠だが、今年はストレートにギーツとガッチャードの合作、だけで勝負してきた。

現行のガッチャードは主人公の相棒がバッタだったりそのカードを使う時にタイフーンのSEがしたり、とさりげない原点リスペクトが見られるが、仮面ライダーがずっと伝えてきた、
「力は、使う人間によって善にも悪にもなる」
というテーマをよく汲み取った映画だと思う。

一ノ瀬宝太郎は、ゼロワンの或人を思い出させるケミーとの共存を夢見る理想主義者。
クロスウィザードが現れた時、一人だけ警戒心を持たなかった所に彼の主人公性がある。ホッパー1も声は可愛いが見た目はバッタ。他のケミーも無機物がモチーフだったりと生物的な「愛くるしさ」とは程遠かったりするのに、出会えた事を喜ぶ宝太郎の無邪気さにあてられてなんか可愛いように見えてきてしまうのがガッチャードの妙である。

今回、物語もストレートでただ、英寿に恨みを持つ男の復讐劇。込み入ったドラマは無かった。それであるがゆえに、ギーツ組、ガッチャード組が手を取り合って共闘する見やすいストーリーでもあった。ヒーロー物はこれでいい。言ってしまえば、骨格がプリキュア映画と同じなのだが、プリキュア映画は毎回好評であるのだから。

プリキュア映画に似ているといえば、敵キャラのドラマだが今作はクロスウィザードという魔法使いケミーがそのポジションであり、宝太郎のキャラと相性も良く清々しい結末だったと思う。発端が英寿なのはギーツのスケール感も表していて、コラボ感が良かった。
しかしギーツケミーの正体は…ちょっと唐突で「???」となってしまったが(笑)。

サプライズの変身もありながらややパンチは弱めだったものの、映画らしい爆破多めの画作りは嬉しくもあり、全体的に手堅くまとめられた、今冬のガッチャンコ映画でありました。

序盤のスケバン刑事ネタは吹いた。
下手すると親世代すら知らないくらいだと思うけども(笑)。
諸星だりあ

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