肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

すずめの戸締まりの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.7
美青年をストーキングして災厄を招き入れた少女の代替わりのあとしまつ
九州から東へ東へ東京へと巡る諸悪猫を追っての人間家具に腰掛けたいだけのロードムービー&アドベンチャー

11.11公開。意味深なゾロ目を選んだのも、そこに意味を持たせての公開だったのでしょうね。作中の設定でも「20『11』・3月・『11』日」であると…
でも、ここ10月〜11月にかけての公開映画で自分が観た映画だけでもこのテーマ、本作入れて3作と渋滞しているんですよね…

具体例を言っちゃえば、『線は、僕を描く』、『天間荘の三姉妹』の事なんですけどw
『線は〜』は端から原作は知らずとも映画は「感動ポルノ」として要素に活用したいだけの薄い描き方が酷かったとしてるので、あまり話の出汁にはしませんが、主人公:すずめの置かれた状況、意味深な家庭環境など近いものがあるんですよね。
要は漫画原作である『(スカイハイ)天間荘』と『すずめ〜』を並べての比較になるんですが、"主人公の成長"、"決心"についても良くも悪くも酷く『天間荘』と被ってしまっていますね。

それ以外の根幹テーマ、「災害」が挙げた作品に共通し、新海映画でも『君の名は。』、『天気の子』ときて現状"災害三部作"、"風土・民俗学三部作"といえる立ち位置の作品ですね。
高度経済成長期がとうに過ぎ去った"時代変遷"と震災等の「自然災害」を経験した『地(場所)』、スポットの歴史、『思い出』、"人の営み"、情念が「怨」に似た何かに変容するほどに"確かにあった"と感じさせるアニメでもありますね。
ここで「団地」が登場しさえすれば、『雨を告げる漂流団地』や『ぼくらのよあけ』に共通する"団地ユニバース"が形成されたりと、さらに関連作が渋滞する悲喜交交な今年の映画の"共通意識"が出来上がってそれはそれで面白い年になったと思いますw
だから恐らく新海誠監督自身にとっても、アニメーターとしての成長・醸成の遍歴と共に、"現実の流れ"を読み取って送り出す"覚悟"の作品群(仮:三部作)だったのではないかなぁと感じさせますね。

でも、実写(リアル)とアニメの描ける範囲と趣向の差異でもあるんですが、その「土地」に確かに泣き笑い"それぞれの人生"が確かにあったのだと感じさせたのは『天間荘』の方なんですよね、個人の意見になりますが…
今作でもそのようなシーンがフラッシュバックするようにシーンが描かれ、人の愛ある営みの『声』の連続が描かれましたが、これがありきたで『龍とそばかすの姫』映画でも見られたような、ただオーディションや募集で"モブ"の声の"物量"でちゃちゃっと済ませれば(想いを馳せられるだろう)とする制作側の"短絡さ"が透けて見えるのが、アニメとしての良くない所が出てしまったなと感じさせる所なんですよ…
あくまで焦点は主人公鈴芽と草太の物語で難しい領分なんですけどね…

さすがに『君の名は』から続く、新海絶賛街道は作画の点で"トップの(二次絵)アニメーション"であることは揺るぎようがないのですけども、人間とは傲慢なもので、『天気の子』まで満足したのか、その作画の美しさにため息などの"刺激"や"エモ"に鈍感になってるのも今作で酷く感じてしまったのもここにありますね…
これは、得意の"美し過ぎる風景画"に耽美させるような「間」、視聴者に"体感"させる時間、視点移動など深く関わってる気がしないでもないんですけどね…

「扉(ドア)」の役目として少し考えればいきつく機能ですが、「後ろ戸」という"過去"、"喪失"という"マイナスのイメージ"やあの世(常世)を意識させる扉が、"前向き"なイメージに転換される「行ってきます」という言葉の"魔力"と、それをエネルギーに変えられる新海アニメの〆方のセンスはやっぱりトップアニメーターだな!と確かになにか収穫したような気にさせてくれるアニメでした。
終わり/始まり の両面を行き来し、時間経過、時代を超越する「境界」、「区切り」を持たせる映画でした。


〜以下ほんのりネタバレ込みの疑問点〜
悪の根幹や"務め"を果たさなかった問題児のような描かれ方をした「要石」の猫ダイジンと左ダイジン?ですが(その行動主旨は明かされるには明かされるが…)
たぶんこの事については、原作小説発行などでわかる実情だとは思うんですが、"草太が「要石」にされる"という成り行きからも、要石=神 とされていますが、"元人"の可能性が高いんですよね。草太祖父の既知のやりとりっぽい所からもその実情がほんのりと感じさせる…
とすると、本作も「人柱」 - 誰かの自己犠牲
で成り立っている話ではないかと…?それは民俗学からも『君の名は。』と『天気の子』にも若干共通してくる所。
だからそういう経緯を予想するとダイジンの不可解な行動や他滅的な行動も納得できる"感情移入できるキャラクター"へと早変わりするんですよw
そこらへんも小説如何で明かされるに依らず、この映画で"欠けてはいけないピース"として、何か物足りない気にさせたんですよね…