このレビューはネタバレを含みます
いきなりファンタジー周りの設定がわからなさすぎてシリーズの途中から観始めてしまったのかと思ったが、結局最後までよくわからなかった。
『君の名は。』は主に3.11大震災のとき東北以外の地域に住んでいた人々の「あの時こうすることができていれば」というどうしようもない祈り、願いをすくい上げるような物語だと解釈したし、現実の出来事をフィクションへ昇華するにあたっての注意深い手つきが見事だと思ったけれど、今作ではかなり直接的に、真正面から被災地のトラウマを取り扱おうとしていた。私は当事者ではないのでそのやり方の是非や効果について何か言える立場にはないけれど、少なくとも、地震という実在する天災自体を人の力で止められるかのように描くことには問題があると思った。厄災に立ち向かう主体が当たり前のように日本神話、神道由来の力とされているのもRADWIMPSと通じる戦前国粋主義への浅薄なシンパシーを感じさせて嫌悪です（『君の名は。』ではここまで前面に出ていなかったと思う）。
『天気の子』は観ていないのでどうだったかわからないけど、少なくとも『君の名は。』キモいあり得ないと批判されたであろう部分がほぼなくなっていたのは単純にえらいなと思った（わざわざ髪をゴムで縛るカットを入れてくる入念さ！）。シスターフッドを描こうという強い意志は感じられたしたしかにああいう場面で手を差し伸べてくれるのは女性だろうという説得力もあるが、あれだけ続くとさすがに都合が良すぎやしないかという気もした。
ところで椅子というアイテムには何か意味というか必然性があったのだろうか。
