特濃ミルク

すずめの戸締まりの特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 やっと見た。作画もストーリーも安定のクオリティ。やっぱり新海誠作品の空と水の描写はずば抜けてんなぁという感じ。あと一瞬しか映らないシーンだけど、おじさんがカラオケでマイク持つ時に小指を立ててるのも細かくていいね。あの世代のおじさん達は基本ああやって持つんだよね。どこでそういうコンテが入ったか知らないけど、とにかくそういう細部の積み重ねがファンタジーの中のリアリティに繋がってくるんだろうなぁと思った。人間観察の賜物。
 ストーリー着想の大元に関しては、おそらくもうどこかで言及されているだろうけど、村上春樹の短編「かえるくん、東京を救う」と長編「海辺のカフカ」、日本神話の「天の岩戸」、そしてもちろん過去の大震災になるだろう。
 具体的な繋がりで言うなら、大暴れして地震を起こすミミズの概念は「かえるくん…」から、それを石で封印するのが「海辺のカフカ」、主人公の名前の岩戸すずめは言わずもがな「天の『岩戸』」、とそこで重要な役割を果たす「アメノウズメ」から…という所だろう。ウズメ…ぅズメ…すずめ。いやこれはこじつけかもしれん。
 とりあえず、過去の出来事にいつまでも縛られてないで(きちんと戸締りをしてから)、新しい日々に出かけよう。せっかく生き残ったんだから、命があるんだから、もう前向いて生きるしかないじゃん、という残酷なほどに力強いメッセージを感じる鑑賞でした。
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