湯のみ

TAR/ターの湯のみのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9
うぅ〜怖かった〜!笑

ケイトブランシェットが指揮者役?!絶対に惚れるだろ…と思って楽しみにしてたやつ。めちゃめちゃハマってた(歓喜
さすがエリザベス女王役経験者、演技で権威を醸し出せるってすごい。

2時間半ずっと、緩急はありながらも必ず背後では緊張の糸が張り詰めているので、観てる側にもおのずとリディアの神経質さが伝播してくる。(指揮者なので耳の良さが超人)
巨匠然とした大胆キレキレな振る舞いの彼女は一般人からするとすでに危ういんだけど、加えて大舞台を控えたプレッシャーが彼女の作る均衡を蝕む。そこに身内から聞こえてくる不協和音が薄ーく少しずつ重なって広がり、パーフェクトなはずの景色がガシャンと崩れていく。その過程がめちゃ怖い。想定外に怖いので「え、これホラーなん?」って途中困惑した笑

唯一希望を持てるとしたら、彼女が間違いなく音楽と心から繋がれる人だったということかな。それは特別な人間にだけ神様が与えた芸術との絆なんだと思う。単なる傲慢な狂人として描くのではなく、知性と才能をきちんと持ち合わせ努力ができる人物として含みを持たせてくれたのが良かったし、だからこそ転落劇にもリアリティがある。

久々に痺れるタイプの作品を観たので楽しかった!
難解なところも含めてこの映画の魅力なんだろう…
とりあえずケイトブランシェットに女優になってくれてありがとうと言いたくなった。笑
湯のみ

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