このレビューはネタバレを含みます
宮崎駿、終活入ったんか?笑
宮崎じいさんの遠い日の原体験というか、精神世界をずっと見せられてるようで、なんか分からないけどずっと不穏で怖かった。
ラピュタもトトロももののけ姫も、こっから生まれたんだなって感じ。
個人的には、
自分たちは何でこの世界に生まれて来ちゃったか(物語は第二次世界対戦中)
この世に居続ける理由を探す旅のように見えた。
ハッとしたのは、今から生まれに行くんだよとキリコが言って見上げた先のワラワラが嬉しそうに手を振っているのを見た時で、
この世にわざわざ生まれる良さって「誰かに会える」ってことなのかなと思った。
その先の世界でどんな痛みを受けるかも知らで、それでも誰かに会いたいという気持ちがこんなに強い、強い感情だとは。たとえ産まれ出た瞬間に光を浴びたその一瞬が人生の喜びのピークだったとしても、体験に出会ったということ自体が祝福的なことなんだ、喜んでいいことなんだ、そんな気持ちがバンと降りて来て、最後はブワブワと泣いてしまった。
自分が潜在的に重視していた哲学が、感想という形で跳ね返ってくる作品だなと思った。
きっちり理解したい人は駿の過去作とかバックグラウンドを遡りたくなるだろうし、(でも突き詰めることは難しいと思う)一旦矛盾などは置いといて感覚でフリーライドするのが得意な人は、もしかすると監督の意図した本筋とは違うポイントにも価値を見出すかもしれない。
解釈は無限に広がりそうだ。
主人公のマインドが切り替わるキーアイテムとして小説『君たちはどう生きるか』が出てくるので、これを読むとまた理解が進むんだろうな。