シネマの流星

モリコーネ 映画が恋した音楽家のシネマの流星のレビュー・感想・評価

5.0
ゴッホや広重が描くまえに見る力が凄かったように、モリコーネも脚本を読んだ段階で映画を奏でられた。

素晴らしき曲は、メロディの中で映画を上映するもうひとつの銀幕。モリコーネは監督やカメラマン、役者より映画を理解していた。映像やセリフよりも雄弁な翼を与え、映画が羽ばたいた🪶

映画館で最も涙した作品がニューシネマ・パラダイス。120分のなかで4回泣いたすべての場面にモリコーネの音楽があった。

商業音楽を屈辱といったモリコーネがそれでも映画に引きずり込まれたのは、映画の暗闇が地上のブラックホールだから。映画がモリコーネを追いかけ、モリコーネは映画という宇宙にのみこまれた。

「映画はオワコン」と言うひとこそ観てほしい。映画のオワコンは「終わらないコンテンツ」だと教えてくれる。
シネマの流星

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