シネマの流星

WILLのシネマの流星のレビュー・感想・評価

WILL(2024年製作の映画)
5.0
命を撃ち、命を体内に入れる。東出の狩猟には逞しさと儚さが同在する。命を奪う残酷は愛と美。ディアハンターのカヴァティーナが似合う。人間は愛があるからではなく、愛を求めるから生きられる。狩猟ドキュメントではなくラブストーリー。

至高の演技は熊肉を食べるシーン。「これから一番おいしい食べものは熊肉って言います」。本音であり、最高の表現の瞬間。演技は嘘を本当っぽく見せることではなく、真実の中に眠る真実を揺り起こすこと。真実は階層。どんな名優も東出の表情には勝てない。

ワニが虎を食べるTikTokの映像はグロテスクでショッキング。それでも毎日見てしまう。『WILL』の狩猟や解体は美しい。動物を美味しく食べるから。旨いのではなく美味しい。人間と獣の最大の違いは料理をすること。人間は美味しさを求める生きもの。

ハチャメチャな構成だが、一本筋通った映画。今年度のベストムービー候補。
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