噛む力がまるでない

リベリオンの噛む力がまるでないのネタバレレビュー・内容・結末

リベリオン(2002年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 クリスチャン・ベール主演の2002年製作のSFアクションである。

 ガン=カタという荒唐無稽のガンアクションが売りのれっきとした『マトリックス』フォロワーにあたるが、こっちのほうが今見るとちょっと古く見えて不思議だった。やってることはカッコいいのに、段取りくさすぎるというか、兵隊が撃たれ待ちみたいな状態なのが本気で間抜けに見えて、でもそれが妙なチャームを生んでいて憎めない感じがする。ガン=カタはその後の『ウルトラ・ヴァイオレット』(と『ジョン・ウィック』)に受け継がれていったが、この絶対無敵で痛快なアクション自体はまだまだ可能性を秘めてそうなので、開発したものをもっと見たかったなと思った。

 お話自体は感情を抑制されたディストピアものでありきたりではあるものの、感情を持った主人公が最後に自らで感情を押さえ込み、冷静に能力をコントロールして無双するというアクション上の理屈は悪くなかった。ちょっとした円環構造にもなっていて、強さは一緒でも主人公の変化を経たからこそクライマックスのバトルにはカッコいいだけではない説得力がある。

 ひとつ気になったのは、リブリアがナチスをイメージしてるように見えるところである。美術品や本を燃やすのは焚書みたいだし、グラマトン・クラリックは秘密警察そのまんまだし、国旗はハーケンクロイツじゃないか……。ひょっとしたら全体主義への諷刺もこめているのかもしれない。