LalaーMukuーMerry

評決のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

評決(1982年製作の映画)
4.4
病院でおきた医療ミス事件をあつかった裁判もの作品ですが、医療ミスそのものにはスポットを当てず、それをもみ消そうとする既得権勢力と、それに立ち向かう弁護士ギャルビン(ポール・ニューマン)を描いた名作です。
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カトリック教会が設立した大病院でおきた医療ミスによる事件。教会は既得権勢力の最たるものだから、ここが絡むと様々な権力がその擁護に動き出すシステムがアメリカではできあがっている。題材は違うけど2014年の「スポットライト 世紀のスクープ」と似ているなと感じた。
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ギャルビンは有能だが、かつて権力に逆らったために干されてしまい、アルコール依存症になりかけている落ち目の弁護士
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一方、ミスをした病院の医師を弁護するのは超一流弁護士事務所、そして判事まで裁判をする前から病院サイドに立っている! しかも弁護士事務所は人手を使って、ギャルビンの行動を見張り、汚い手段で情報を手に入れて、彼の狙いを予測して対策を打ってくる。ギャルビンが証人依頼した人物が公判直前に行方不明になる。やっと見つけた最重要証人の話を、証拠として認めないという判事…
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手足をもぎ取られたも同然のギャルビンが最後に頼りにしたのは陪審員の正義感だった…
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権力が腐敗しても、アメリカの普通の人々(陪審員)の心には正義が残っているというメッセージにはちょっとぐっと来た。陪審員もそうだけど、弱みを握られていたローラも最後の証人の情報は流さず、弁護士事務所に静かに盾突いた。彼女も最後に意地を示したのだ。
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正義を踏み外した権力には、勇気を出してNOを!
驕れる者は久しからず
(2017都議会議員選挙の結果もまさにその一言でしたな)