アタフ

X エックスのアタフのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
4.0
A24が仕掛けるエクストリームライドホラーと言うことで、結構捻った感じのホラー映画なのかなと思いましたが、実際はホラー映画の王道のような内容でした。
映画前半、主人公一行がバンでテキサスの田舎の一軒家に向かう様子は正に『悪魔のいけにえ』で、監督としても確実に意識したところであろう。主人公のマキシーン(ミア・ゴス)は当然ながら若い女性であるが、いわゆるファイナルガールとしての処女性全くなく、むしろ真逆の存在。当然ポルノ映画の撮影の一行ということで当然なのだが、その点は他のホラーとはちょっと違ったところであり、この処女性が全くなく性に奔放といった点がこの映画のテーマともなっている。なんといってもマキシーン自身が自らに「私はセックスシンボル」と言い聞かせるシーンからもそれが伺える。

主人公一行を襲うのはイカれた大男ではなく若さに執着した老婆。映画を見た後に知ったのだがこの老婆もミア・ゴズが一人二役で演じていたのことで驚きました。老人をバケモノ的に描くホラーは『ヴィジット』とか『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』とかありますが、気持ち悪さではこれが一番かもしれない。(いや、思い出したらこの2作も結構気持ち悪かったわ。。。)
というわけで、この老婆と旦那の爺が主人公一行を殺していくわけですが、この辺りは言ってしまえばよくあるホラー映画の域を出ず、全体的に既視感のある展開が続きます。この殺しの展開をもうちょっと期待していたのですが、案外普通でしたね。。。(決してつまらないわけではない)
この映画は105分あり、長くはない上映時間だと思うのですが、主人公達が老夫婦宅に訪れてから、何かが起こる気配や伏線のシーンはあれど、肝心の殺しがなかなか始まらずちょっとダレる部分もある。ポルノ映画撮影シーン等々も映画の内容として重要ではあると思うのですが、もう少しテンポが良かったらなとも思いました。

最終的な結末というかテーマ?に関してはネタバレになるのであまり書きませんが、映画の中でも度々差し込まれるテレビに映るキリスト教徒の演説に対してアンチテーゼのようなものなのでしょう。セックス上等!!そんな映画。ホラー映画としての完成度も高く映画代1800円の元は確実に取れるでしょう。

ちなみに、この映画の前日譚が描かれる映画も作られるみたいですね。多分見ます!!そしてこれから見る人はエンドロールの最後まで席を立たないでね。


追記…ロレイン(ジェナ・オルテガ)が死体を発見した時の絶叫の演技が素晴らしかったと思うのは私だけだろうか?
アタフ

アタフ