アタフ

息子の面影のアタフのレビュー・感想・評価

息子の面影(2020年製作の映画)
4.5
メキシコと言う国がいかに恐ろしいかと言うことは、『ボーダーライン』や『悪の法則』『皆殺しのバラッド』など様々な映画が教えてくれたが、その"メキシコマジ怖い映画"の傑作の1つに入るであろう作品がこの『息子の面影』である。

アメリカへ向かう途中行方不明になった息子を探すべく旅に出る母親。その過程で如何にメキシコが野蛮で暴力的であるかが映し出される。
モラルや正義など軽く吹き飛んでしまうような"悪"、この映画での表現で言えば"悪魔"が潜んでおり、それはもはやメキシコの日常と化している。道を走れば銃を持ったギャングが検問しており、生きるも死ぬも彼らの匙加減だ。日本では考えられない。なんと理不尽な世界であろうか。。。

冒頭から印象的に映し出される息子の面影。何度も何度も母親はその姿を思い浮かべる。
そして対になるかのようなラストの息子の面影。。。
思えばこの映画では中盤以降、風景を上下反転して映した映像が意味ありげに差し込まれるが、正に母親にとって世界がひっくり返るような残酷な現実というもの存在していたのだ。
余りにも恐ろしい結末と、ラスト息子の面影に重なる"何か"に身震いしてしまいました。

こんなにも恐ろしい思いをさせられる映画はなかなかありません。
傑作だと思います。
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