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マイ・ブロークン・マリコのアタフのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
4.0
自殺した親友へ想いとともに突っ走るとてもエモーショナルな映画でした。主演の永野芽郁はこの作品で初めて顔と名前が一致した。

コミックが原作らしく皆様のレビューを見る限り原作に忠実な作りの様だ。自殺した親友のために突っ走るトモヨ(永野芽郁)には心の底から感情移入できるし、映画における評価基準の"感情移入できるか?"といった点ではかなりのものであると思う。
私も最近見た映画の中では一番"感情移入"できた映画だったと思います。
それこそトモヨの行動にはには心の底から応援できるし、マリコには心底不憫に思ってしまった。
また個人的に、このちょっと百合っぽい展開に弱いのか、エモーショナルな展開に惹かれたのか、周りの観客のすすり泣く声が聞こえる中、ちょっとウルッとくるシーンも…

上映時間が85分と非常にタイトであることもあり、全体的に深堀されず「ご想像にお任せします」といった要素も多い。
ラストの手紙についてもそうですけど、他にもマリコの両親についてとか、トモヨ自身の生い立ちとか、もっともっと深堀出来るような内容だけに85分は短いと感じました。こういった重いテーマを扱う映画としては85分という上映時間は軽すぎるし、原作を忠実に再現した結果ということかもしれませんが心底感情移入していただけに、もっと深堀してくれ!!という思いを抱かずにはいられなかった。

全体的には大変満足の出来る映画だったのですが、所々セリフや展開が映画的ではないなと感じるところもあった。これもコミックの原作に忠実に作ったからではあると思うのだが、例えばひったくり&女子高生を襲うヘルメット男の「ある展開に持っていきたいために無理やり出した感」はちょっと萎えましたね。
馬鹿コメディ映画であれば、こんな展開にも違和感は感じないと思いますが、内容が内容だけにある程度のリアリティラインは保って欲しかった。

ただ、そんな不満も跳ね飛ばしてくれるぐらい勢いのある映画だったですし、見終わった後にもこの映画のこと、そしてマリコとトモヨのことをずっと考えてしまうような印象に残る映画だった。


前向きな印象を残してくれる結末だったが、自殺したマリコは決して帰ってこないという事実はやはり重い。。。
原作も読んでみようかな。
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