てっちゃん

息子のまなざしのてっちゃんのレビュー・感想・評価

息子のまなざし(2002年製作の映画)
4.2
少年と自転車を観てから、ダルデンヌ兄弟の作品にすっかり虜になってしまい、今作を鑑賞。
彼らの作品は何も前情報入れずに、夜中ひとりだけの時間をつくれるときに観るが1番。
彼らの作品らしく、親切な説明などなし、セリフは最小限、音楽なし、人物に焦点をあてた映像、嫌らしさなどなく観ている側に静かに解釈を委ねる作風が今作でもひかる。
中盤までこの主人公はなにものなのか、なぜ周囲をすごく気にするのか、なんで人との接触を避けようとするのか、でもなぜ仕事に強い思いを込めるのか、本当はどんな人物なのかという疑問で一杯になる(おそらくダルデンヌ兄弟の狙いではないだろうか)。
しかし中盤のある一言が合図となり、がらりと捉えるべき角度が変わる。言葉ひとつで。
主人公はなにを彼に求めたのか、なぜ彼と関係を持とうとしたのか。
彼は今後どう過ごしていくのか、なぜ逃げ出さなかったのか。
オリヴィエグルメさんの表情と背中を追ってばかりの映像なのにこの説得力はなんだろうか。もちろん彼の演技力を持ってのことは間違いないんだろうけど。
最後のシーン、語らずとも2人の今後がみえた気がする。
相変わらずの濃厚さでございました。
てっちゃん

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